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学習指導要領がもしもなかったら、教育は進むのか。学習指導要領という制約をなくして、各教員がすべて自分の思うように教育をしたら、そのほうが効果的である、と考える人がいるかもしれない。もしも、そのようなことが起これば、どうなるか考えてみよう。

(1)学習指導要領がなくなれば、教育現場では混乱が起こると考えられる。共通の手引きとすべきものがなくなり、ばらばらに授業を進めると、互いが授業で得た知見を利用できなくなる。さらには、教員が一人一人勝手な思い込みで物事を教えていたら、学校現場での混乱は目に見えるようだ。
(2)先進的で充実した教育を提供している学校はますます伸びてゆき他の学校との差が広がる。教育の格差が広がる。
(3)時代に沿った革新的な授業が他に伝播していくことが難しくなる。それらの知見がその学校だけに埋もれてしまう。
(4)児童や生徒が引っ越しなどで学校を転校するときは、同質の教育を受けられない。子どもたちにとって、ある科目は知っている内容なので、授業では退屈であるが、ある科目は遅れていて内容がさっぱり理解できない。教育の流動性が損なわれる。

このような様々な弊害が考えられる。そのようなことを防ぐために、国家が公教育に一定の教育の質を保証できるようにすることは理にかなっている。学校教育の最低限の水準を守るために、各学年において最低限指導しなければならない内容を定めるべきである。それに基づいて、各教科の年間授業時数、目標、内容が決 められる。各教員はそこから授業計画を立案し、実施していく。

学校における英語教育も、学習指導要領 に基づいて教育課程が編成される。英語という教科の性格上、英語は上記に述べた弊害が特に出やすい教科である。その意味で学習指導要領を参照しながら、学習者が段階的に理解できるような学習計画を立てていく必要がある。

学習指導要領は、昭和33 年(1958)年に初め て出されたが、それ以来、約10年に1度の割合で改訂されている。平成 20年 (2008)年に改訂されたものは、昭和33年 (1958)年、昭和44 年(1969)年、昭和52年 (1977)年、平成元年(1989)年、平成10年 (1998)年に続き、6回目の改訂版である。

現行の学習指導要領の特徴は、小学校に外国語(英語)が入ったという点が挙げられる。また、小中高を貫く中心の柱として「コミュニケーション」がより明らかになった。「コミュニケーション」という語は平成元年(1989)年に初めて登場したが、それ以来、常に現れている。文科省の方針が「コミュニケーションを図ろうとする態度とコミュニケーション能力の育成」にあることは明白である。

現在は、次の学生指導要領の改訂の作業が進み、すでに原案が提示されている。今後は、新しい学習指導要領の狙いを探ることが必要になってきている。

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