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2017-05-30

小学校で外国語活動の時間が新設されたのは、いくつかの契機がある。中央審議会が答申を出し、それを受けて学習指導要領の改訂をいう形を取る。

英語教育の開始時期の見直し

1986年4月:中曽根康弘首相直属の臨時教育審議会の第2次答申「時代の変化に対応するための改革」の第3部第1章(3)「外国語教育の見直し」では、中学・高校の英語教育が文法や英文読解指導に重点が置かれすぎていることや、大学でも実践力を身につける内容とはなっていないなど、現在の英語教育の非効率性とその改善の必要性が指摘された。そして「英語教育の開始時期についても検討を進める」と提言を行った。この「英語教育の開始時期についても検討を進める」という文言が、「小学校への英語教育導入」に関する最初の公式な文言のである。

国際理解教育の一環として導入する

1992年4月:大阪市立真田山小学校、味原(あじはら)小学校が「小学校の英会話」等に関する研究開発指定校とされた。

1996年7月:第15期中央教育審議会の第1次答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」において「英語の教科としての一律導入は見送られ、代わりに新設された「総合的な学習の時間」や特別活動などにおいて、国際理解教育の一環として、地域や学校の実態などに応じて、英会話などにふれる機会や外国の生活、文化に慣れ親しませるようにするべきである、その時はネイティブ・スピーカーなどの活用をはかることが望まれる」という指針が示された。

1998年:小学校学習指導要領が改訂となる(2002年に実施予定)。「総合的な学習の時間」が新設となり、学習指導要領の総則において、総合的な学習の時間の 取扱いの一項目として、「国際理解に関する学習の一環としての外国語会話等を行うときは、学校の実態等に応じ、児童が外国語に触れたり、外国 の生活や文化などに慣れ親しんだりするなど小学校段階にふさわしい体験的な学習が行われるようにすること」とされた。これにより、全国の小学校 で、いわゆる「英語活動」が広がることとなる。

外国語活動の新設

2006年3月:中教審の外国語専門部会から「小学校における英語教育について」「必修化」を内容とする答申が出される。「小学校の高学年においては、中学校との円滑な接続を図る観点からも英語 教育を充実する必要性が高いと考えられる。例えば、年間35単位 時間(平均で週1回)程度について共通の教育内容を設定することを検討する必要があると考える」とされた。

2008年1月:中央教育審議会「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善につい て(答申)」において、外国語活動において各学校でばらつきがあり、中学校との円滑な接続のために、国として各学校に共通に指導する内容を示すことが必要である。総合的な学習の時間とは別に高学年において一定の授業時数(年間35単位時間、週1コマ相当)を確保することが適当である」として、 外国語活動の新設が答申された。

2008年3月28日:改訂版小学校学習指導要領が告示された。そこでは、小学校第5学年と第6学年に外国語活動が位置づけられた。(教科ではなくて、領域としての扱いになった。これにより免許の問題が解決されて、指導は担任が中心となって、Team Teaching となっていく。

次の学習指導要領の改訂に向けて

2013年12月13日:「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」を文部科学省が発表した。2018年度から段階的に導入し、2020年度の全面実施を目指す。その概要は、○小学校中学年:活動型・週1~2コマ程度・コミュニケーション能力の素地を養う・学級担任を中心に指導 ○小学校高学年:教科型・週3コマ程度(「モジュール授業」も活用)・初歩的な英語の運用能力を養う・英語指導力を備えた学級担任に加えて専科教員の積極的活用○中学校・身近な話題についての理解や簡単な情報交換、表現ができる能力を養う・授業を英語で行うことを基本とする。

2017年2月14日:文部科学省から次期学習指導要領の改定案が公表された。案の段階であるので、若干の変更は予想されるが、基本的には以下の通りである。
教科としての外国語(小学校の高学年、5~6年)は下のようである。

第1 目 標
外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ,外国語による聞くこと,読むこと,話すこと,書くことの言語活動を通して,コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 外国語の音声や文字,語彙,表現,文構造,言語の働きなどについて,日本語と外国語との違いに気付き,これらの知識を理解するとともに,読むこと,書くことに慣れ親しみ,聞くこと,読むこと,話すこと,書くことによる実際のコミュニケーションにおいて活用できる基礎的な技能を身に付けるようにする。
(2) コミュニケーションを行う目的や場面,状況などに応じて,身近で簡単な事柄について,聞いたり話したりするとともに,音声で十分に慣れ親しんだ外国語の語彙や基本的な表現を推測しながら読んだり,語順を意識しながら書いたりして,自分の考えや気持ちなどを伝え合うことができる基礎的な力を養う。
(3) 外国語の背景にある文化に対する理解を深め,他者に配慮しながら,主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。

外国語活動(小学校の中学年、3~4年)は下のようである。

第1 目 標
外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ,外国語による聞くこと,話すことの言語活動を通して,コミュニケーションを図る素地となる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 外国語を通して,言語や文化について体験的に理解を深め,日本語と外国語との音声の違い等に気付くとともに,外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しむようにする。
(2) 身近で簡単な事柄について,外国語で聞いたり話したりして自分の考えや気持ちなどを伝え合う力の素地を養う。
(3) 外国語を通して,言語やその背景にある文化に対する理解を深め,相手に配慮しながら,主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。

中学校の学習指導要領(外国語)は以下のようである。

第1 目 標
外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ,外国語による聞くこと,読むこと,話すこと,書くことの言語活動を通して,簡単な情報や考えなどを理解したり表現したり伝え合ったりするコミュニケーションを図る資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 外国語の音声や語彙,表現,文法,言語の働きなどを理解するとともに,これらの知識を,聞くこと,読むこと,話すこと,書くことによる実際のコミュニケーションにおいて活用できる技能を身に付けるようにする。
(2) コミュニケーションを行う目的や場面,状況などに応じて,日常的な話題や社会的な話題について,外国語で簡単な情報や考えなどを理解したり,これらを活用して表現したり伝え合ったりすることができる力を養う。
(3) 外国語の背景にある文化に対する理解を深め,聞き手,読み手,話し手,書き手に配慮しながら,主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。


(注意点)学習指導要領の目標の違いに注目する。

コミュニケーションを図る素地となる資質・能力を次のとおり育成する (小学校中学年)

コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を次のとおり育成する (小学校高学年)

コミュニケーションを図る資質・能力を次のとおり育成する (中学校)

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