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Suggestopedia

Humanistic Approach の一つとして、ブルガリアの心理学者ロザノフ(G. Lozanov)が提唱したSuggestopedia という教授法があります。ロザノフは、精神療法医•生理学者でもあります。彼は潜在能力の存在を確信し、暗示の科学「サジェストロジー(暗示学)」を確立しました。医学の分野から教育学に知見を応用したのです。そして、外国語学習という新しい体験から生ずる不安や、自信喪失などのさまざまな マイナスの心理的緊張を除去することを通して学ぶ教授法を提唱しました。つまり、Krashen がいう情意フィルターを下げることです。さて、この教授法の特徴を見ていきましょう。

学習理論

学習理論は次の3つの心理学的•生理学的法則に基づいています。

  • ①脳は脳全体で統一的かつ複合的に機能すること
  • ②精神活動は心理的・生理的に常に分析と統合が同時に行われていること
  • ③コミュニケーション活動は常に顕在的及び潜在的のすべてのレベルで同時に行われていること

教材を最大限に定着させるために、リラックスした心の状態を利用します。それには、授業は①リラックスして楽しいこと、②学習者の脳の意識的•無意識 的作用が同時に使われること、③学習者の潜在能力を暗示により引き出すこと、を目指します。ロザノフ博士のインタビューがあります。画像は古くて状態は良くないのですが、博士の外国語の学習法に対する考えがよく分かります。

 

授業の特徴

授業は、イントロダクション、コンサ一ト•セッション、エラボレーションの3段階に分かれます。イントロダクションで 内容または文法上の主要項目を簡単に紹介します。第2段階のコンサート• セッションは、アクティブ・コンサート、パッシィブ・コンサ一卜に分かれます。前者では古典派及びロマン派の曲を背景に教師がテキス卜を朗読します。学習者は目標言語の英文を見ながら訳文を見たり注や書き込みをしたりして積極的に授 業に参加します。後者では教員はバロックの曲を背景に教員がテキストを朗読します。そのときは学習者は本を閉じて聞くのです。第3段階のエラボレーションでは潜在意識的な受容教材の学習内容が活性化され自発的なものになるように歌、ゲーム、ロールプレイ等が行われます。

この教授法では、約2000語の語彙の90% 以上を習得できて、その中で新語の60%以上を曰常会話で流暢に使用できること、などの結果を期待できるようです。授業中の活動の中心は,reading教材として与えられたダイアロダを基に、 相互に言語交渉を行うことです。ここでは内容が重視されて、発音や文法の正 確さは。厳格には求められるません。当然その結果、学習者の発話はが正確さ(accuracy)に欠けると批判されていますが、発話の意欲や流暢さ (fluency)が高いばかりでなく、学習した語彙の定着率も非常に高いと言われ ています。

リラックスな雰囲気

学習者をリラックスさせるために、音楽(バロック) が使用される点は面白いと思われます。また教員の態度やムード作りが大切にされます。リラックスが 重視されるのは、外国語学習に生じがちな、マイナス志向の心理的要因を除去するためです。除去に成功すれば、それまで眠っていた可能性が開花して記憶力が飛躍的に伸びて、コミュニケ一ションの意欲も高まります。

授業が行われるのは教室ではなく、居 間のような場所が使用されます。うちとけた自然な会話から、言語学習が生ずるように努力が払われます。言語材料は、2〜3日おきに何十行ものダイア ログが与えられ、宿題として朝夕の音読が課せられます。たくさんの宿題は小出しにするよりも かえって効果的だと言われています。授業の最初の日に、外国語での新しい名前と役割を与えられます。ですから授業は、単なる外国語学習ではなくて、新しい自己像を求める活動でもあります。

それから、教員は、絶対的な信頼と名声を教室の内外で得て、学習者が素直な子どものような態度を持って授業に臨めるようにしなければと言われています。

また、学習者の自信を高めるために、外囯語の使用能力の伸びに気づかせることも大切です。言語学習は楽しく容易で、進歩が早いと信じ込むように指導する必要があります。この優秀な教員と秀れた教授法のもとならば、 容易にマスターできることを暗示してやるのです。

この教授法は、 潜在能力の開発を求めるホ一リスティック•アプローチであること、それから外国語学習は楽しいものであるという暗示をかける必要があることに注意したいと思います。

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