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自分の指導する学生(中学校の英語教員になる予定)に次のような課題を与えてレポートを提出してもらった。「自分の担任するクラスに、帰国生や外国人の子どもが転校してきたら、この子どもたちの言語発達に関して、BICSとCALPの視点から、どのような配慮をするか」というテーマである。学生のレポートに加筆修正を加えながら、このことをまとめてみたい。

学生のレポート

知的な側面での支援

私が中学校の教員になった時、もしも、海外からの帰国生や外国からの子どもたちがクラスに転校してきたら、まず、子どもたちの言語能力に注目したい。子どもたちの言語能力に関して、母語、日本語、英語とさまざま視点から注意する必要がある。このレポートでは、外国籍の子どもの言語問題を中心に論じてゆく。

私はまず、子どもの日本語のレベルはどの程度か、BICS「伝達言語能力」とCALP「学習言語能力」の視点で言語対応していきたいと考える。新しく転校していた子どもたちはしばらくして、クラス内で流ちょうに日本語を話し始める。自分はこの時点でBICSは大丈夫だと判断する。その生徒がジェスチャーなどを手助けとしながらも、話し言葉で日常のコミュニケーションを取ることができれば、ひとまずBICSは十分に発達したとと判断できるだろう。もちろん、担任として、その子との実際の会話を通して生徒の言語能力は確認していきたい。

次の段階はCALPである。日本語の能力がCALPまで達しないと、授業外でのクラスメートとのコミュニケーションは問題ないとしても、肝心の授業の内容が分からない。彼らが授業中の板書の内容がきちんと理解できて、授業でも他の生徒と比べて理解に遅れがなく、もはやハンディの感じられないほどの日本語能力を保持するようになることが最終目的である。

よく言われるのは、外国人国籍の生徒や、日本国籍の生徒でも長期間海外に住んでいた子どもたちの中には、BICSは備わって、一見すると日本語能力が十分のように見える子どもがいる。この時点で教員がよく勘違いをしてしまうが、その子どもたちは、文字の読み書きのレベルはCALPには達しておらず、授業の内容理解が十分でないことがある。

さて、どのようにして、生徒が年齢相応のCALPを身につけているのか知るのか。それは、その子どもが授業に付いていっているのか実際に授業の様子を観察することである。ノートを見せてもらうことである。また自分だけではなく、他教科の担当の教員に授業中の様子を尋ねて、その生徒に授業に遅れがないか、言葉の障害を感じている様子はないかを確認するのである。何か問題があるようならば、配慮をしてもらえるよう他の教員と連携をとる。さらには、学内で働きかけて国際教室を開設して、取り出し授業などを開いたりする。つまり、その生徒のレベルにあった支援を取り出し授業、授業外の時間、放課後や自主学習などを通しておこなうのである。

情意的な側面での支援

なお、学生の知的な側面だけでなくて、情意的な側面も支援していきたい。その子ども達の特徴、もう一つの言語を知っている点で自信やプライドが生まれる機会を与えたい。中学校で私が教科担当する科目は外国語科(英語)である。その生徒が英語を得意とするのならば輝ける場を英語の授業中に作りたい。日本人の生徒とペア活動させて仲間を助ける場などを意図的に設定したりしていきたいと考える。

その生徒の母語が英語ではなく、タガログ語やポルトガル語、中国語であれば、日本人の生徒との間では、英語がお互いに第二言語が英語である。日本人同士が英語を使うと何か不自然なぎこちなさが生まれるが、共通の言語が英語だけの場合は、英語を使うことは自然であり、子どもたちも納得できるのである。さらには、英語だけではなく、その国の言語や文化(フィリピン、ブラジル、中国)に触れる授業をも設定していきたい。それらの活動により、これらの子どもたちは教室における自分の場所を見つけ自信がもつことができるのである。

まとめ

このようにして知的な側面の支援としては、BICSとCALPの視点を大切にしながら、本人の日本語能力に応じて支援していきたい。また情意的な側面での支援としては、子ども達が活躍できる場、つまり輝ける場を作りたい。特に、私の担当する外国語の授業では、その生徒が活躍できて日本人の子どもたちと協働できる機会を作りやすい。そのことを強く意識して、中学の英語教員の仕事を行っていきたい。

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