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自分は英語科教育法の授業を行っている。受講者は学生がほとんどであるが、時には免許更新や2種免の取得を希望する現役の先生方に講義することがある。そんな中で自分が学生に教えるときに心がけていることを述べていきたい。
一方通行の授業ではなくて対話型の授業にする。
従来型の授業では、教員から学生に教えるという形式であった。しかし、これからはできたら教員と学生との対話型の授業にしてゆきたい。ただ、これは5,6人ぐらいのゼミ形式の授業では可能だが、30人ぐらいの受講生がいる授業では、教員と学生との対話とは難しい。その場合は、グループに分けることが望ましい。4~5名のグループで7グループぐらいに分けるのがよい。各グループに何か課題を与えてそれを討議させるのがよい。課題は「ALTと日本人教員とのティームワークはどうしたらいいのか」とか「TPRは中学生に役に立つか」などである。
しかし、問題点は学生たちは今まで教えるという経験をしていない。そのような経験のない人間に教育現場で遭遇するだろう問題点を討議させるのは話題がなかなか出てこない。これが、現職の教員の人同士のグループ討議ならば、次から次と話題が出てくる。つまりそれらの人々は現場でそのような現実に日々接しているからである。
学習者の視点からのグループ討議にする。
教える側からの視点からのグループ討議ではなくて、教わる側からの視点からのグループ討議ならば話題が出やすい。「自分が今まで受けてきた授業の中で一番有益であった授業はどんな授業であったか」「自分が経験した中で、一番不愉快なしかられ方はどうのようなものであったか」「自分にとって役に立った宿題はどのような宿題であったか」などの具体的なテーマ設定がよい。これが「理想的な生徒とはどのようなせいとであろうか」とか「生徒と先生のあるべき姿はどのようなものであろうか」などになってくると抽象度が高まって、議論が出にくい。ただ、授業参加者の意識が高くて、抽象的な議題でもついて行けそうならば、そのような課題を中心に議論してもよい。
そして、グループで議論したことはクラス全体にフィードバックさせるべきである。各グループでは発表者を決めておき、各グループでの議論の内容と結論を報告してもらう。議論は15分とか20分と時間を決めておき、結論を導き出すことを意識してもらう。発表者が司会を行うことが多いだろうから、発表者がグループの中での議論を上手に誘導することが必要となる。
日本人同士が英語で議論するとピジン英語になるという指摘もある。ピジン英語になるという短所よりも各自が英語で積極的に発表する機会をあてることの方が効用が高いということで、やはり積極的に薦めるべきであろう。
自分の考えを発表させる
グループ討議の内容を発表してもらうことも大切であるが、個人が自分の考えを発表することも大切である。日本語でも大変なのであるのに、英語でどうして発表が可能かという意見がでるかもしれないが、ここは各自が踏ん張りどころである。中学1年生ぐらいから、自由英作文をクラスの前で発表する習慣がついていれば、これは大切な習慣がついたことになる。