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新学期が始まった。学生への「英語科教育法」の授業が始まる。そのときの導入のきっかけとして何がいいのか考えている。以下のような話しをして、学生の興味を引いてみたい。
最近の英語教育の方向付けは、2003年に「英語が使える日本人の育成のための行動計画」の反省から始まっていると思われる。この行動計画は華々しく打ち上げられたが、所期の目標を達したとは言えない。
英語教員と生徒の英語コミュニケーション能力が「行動計画」で設定した目標に達していないとして、「国際共通語としての英語力向上のための5つの提言と具体的政策」を設定している。この具体的政策は以下の通りである。
5つの提言がある。提言1は「生徒に求められる英語力について、その達成状況を把握・検証する。」である。各中学校や高等学校は学習到達目標をCAN-DOリストの形で設定・公表して、達成状況を把握することが求められる。同時に、国も学習到達目標をCAN-DOリストの形で設定することにすることが求められている。
2017年告示の学習指導要領は、目標の部分は、ほとんどが「~ができる」という風にcan do 表現になっている。抽象的な表現ではなくて、具体的に「~ができる」とした表現で、教員はでは何をしたらいいのかが明示的になったと言えよう。そのことによって、生徒はある程度の英語力を身につけることが可能になってきた。
もう一つの、提言4の英語教員のレベルアップを求める提言である。「英語教員に少なくとも求められる英語力:英語準1級、TOEFL(iBT)80点、TOEIC730点以上程度」とある。ただ、英語の準1級のレベルに達するのはかなりの努力が必要である。そして、次はそれを維持していかなければならない。教員は英語力以外にアップしなければならない能力がたくさんある。生徒指導の力、部活の指導の力、会議などの事務能力、これらは英語力アップにはかなり邪魔になる「雑務」になる。
今の中学高校でいろいろな力(=総合力)を持った教員を育てようとするならば、上記の英語力を強制とするのではなくて、努力目標とするのがいいと思われる。
そんなような話しを糸口にして、英語教員と生徒の英語コミュニケーション能力アップにはどうしたらいいのか、学生とディスカッションしていきたい。