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生徒たちは、目的に応じてリ一ディング・ストラテジー(リーディングの方略)を使用しながら、効率的に読解を進めていく。教員の役割は、生徒たちが目的に応じて、リーディング・ストラテジーの使用を促して、効率的に読解ができるようにすることである。その具体的な方法としていくつかがあげられる。

スキミングとスキャニング

スキミング(skimming)とスキャニング(scanning)はどちらも速読のためのストラテジーである。スキミングは、新聞や雑誌に目を通すときに用いられることが多い。キーワードやディスコ一ス・マーカーなどに注意しながら、細かいな情報や言い換え部分は読み飛ばし、素早く大意をつかむ読み方である。スキャニングは自分の探している情報をテキスト中から素早く見つけ出して読み取る方法である。例えば、電車の時刻表の読み取りやカタログから自分の探している製品情報を探すことである。

学習者が読解問題に取り組む時には、設問に対する答えとなる情報が書かれている部分をテキストの中から探し出す場合には、スキャニングをするのである。

未知語を推測する

ある程度語彙力がついたら飛ばし読みも必要である。つまり、分からない語に立ち止まらないで、その意味を推測して読んでいくのである。教員の指導としては、分からない語にであったら、辞書ですぐに訳語を探させるのではなくて、どのような意味を持つ言葉か、 前後の文脈から推測させるのである。

また、未知語自体に含まれている接頭辞・接尾辞などに注意をさせ、意味を推測させる練習が必要である。英語の接頭辞・接尾辞に関しては、体系的に教えておくと、生徒たちの未知語の意味推測に役立つ。さらには、ある程度の語彙数が増えてきた場合だが、語源をある程度教えておくと効果的である。これは、高校生以上になると興味を持ってくれる生徒や学生が増えてくる。

推論する

生徒は内容の理解を深めるために、テキスト情報にははっきりとは書かれていないことでも推論しながら読み進めることが大切である。たとえば、文章中の代名詞や言い換えられている部分が何を指しているのか、それまでに出てきた情報と結びつける作業である。あるいは、登場人物や描かれている状況を読み手の経験や背景知識などと関連づけ、人物や状況についてより深く理解させることである。

パラグラフの構造の理解

英語のパラグラフは1つのトピックについて詳しく述べることを目的とした文の集合体である。それれは「トピック・センテンスtopic sentence」、「サポート・センテンスsupporting sentence」「コンクルーディング・センテンスconcluding sentence」から成立している。

複数のパラグラフから構成されるエッセイは、趣旨が示されている導入部分(introduction)と本論(body)そして結論(conclusion)で構成されることを意識して読む方法である。なお、エッセイはこのように論理構成がきちんとされたものであり、エッセイ=随筆と考えるのは正しくない。日本語における随筆は心の赴くままに、流れに沿って書いてゆくことであり、英語でいうessayとは異なる。

英文の持つパラグラフ構造を意識して読むことは、文章全体の大意や要点をすばやく読み取るために効果的である。なお、物語文などは、このような構造を取らないのであるが、説明文や論述文などを読む際には、この点を意識すると論点がつかみやすくなる。

なお、英語エッセイの構造という記事には、このことについてより詳しく説明してある。

ディスコ一ス・マーカー

英文には例示や列挙、比較、時間順序、原因・結果などのパラグラフ構成がある。その時には、たいていの場合は、ディスコース・マーカーが使われているので、それらの存在に気づかせて、パラグラフ構成との関係を理解させるように指導する。

例示するときは、for example、列挙するときは first、second、 finallyのように並べてゆく。比較するならば  in contrast、 on the other hand、時間順序は when、 after、 before、原因・結果は therefore、 that’s why、 A causes Bなどである。これらのパラグラフ構成を理解することにより、新しい情報を関連づけ、整理しながら読み進むことができるようになり、テキストの理解が促進される。

スラッシュリーディング

意味のかたまり(チャンク)ごとに斜線(スラッシュ)を入れて読むのは、塊ごとに意味と理解して、語順の順番に意味を理解してゆく方法である。英文和訳でも、日本語の語順を意識してひっくり返すことがよく行われるが、前から英語の語順通りに意味を理解する方法である。
生徒たちには、どこにスラッシュを引くのかを教える必要があるが、接続詞の前後、前置詞句の前後、コンマ、セミコロン、長い主語や目的語の後などが文の塊となりやすい。

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