○
内容に焦点を当てたライティング活動としていくつかの活動があるのでそれをみていこう。
ノー 卜・テイキング
パラグラフ構成がしっかりしたまとまりのある文章を聞いて、それをノートに記してゆく。すべてを書き取ることはできないので、重要な部分のみ書き取るようにする。品詞で言えば、名詞や動詞などの内容語を中心に書き取り、冠詞や前置詞などの機能語は省略するようになる。文にするのが難しいならば、語彙だけでも書き取るだけでも良しとすることになる。
サマリー・ライティング(要約)
音声情報あるいは文字情報の要点を整理して、自分の言蕖で要約する活動である。例えば、物語文のあらすじを書いたり、説明文の要約を書いたりする。この活動も、サマリーの全文を書く場合と、穴埋め形式のサマリーに文字を入れる場合がある。
サマリーであるので、本文をそのまま引用することを避けて、できるだけ言い換えをする、つまり、自分のことばで書くように指導すべきである。さらには、「40語以内でまとめる」など、あらかじめ語数を設定しておくとよい。
ディクトグロス(dictogloss)
まとまった内容の音声情報を数回聴き、簡単なメモをとった(ノート・テイキング)後に・ペアやグループで聞いた内容を復元する活動である。ディクテーシヨンのように原文を忠実に復元することが目的ではなくて、生徒たちは、お互いのメモをもとに話し合って欠落部分を補いあいながら内容を再構築してゆく。最後に、再構築した文を発表しあったり、原文と比較しあったりする。デイク卜グロスは、生徒に理解できたこと、できなかったこと、表現できたこと、できなかったことについて気づかせると同時に、生徒同士が協同して書く楽しみを経験させることができ、ライティングに対する動機を高めることも期待できる。
フィードバック
教員がフィードバックをするのは、一人一人の生徒に応じて細かく添削することは時問的制約もあり難しい。したがって、典型的な誤りの例を抜き出して、黒板やプリン卜に記述して、クラス全体にフィードバックすると良い。
また生徒には典型的な誤りについて納得した後に、自分のライティングを修正して書き直すことを促す。このようなプロセスを繰り返し行えば、生徒も自分のライティング能力が向上することを認識して自己達成感を得ることができる。
また・生徒同士が口頭または筆記によりフィードバックを与えあうピア・レビューの機会をもつ場合は、誤りだけではなく良い点も指摘するように促す。また教師がピア・リービュイング・シートを作成して、チェック項目をあらかじめリストアップしておくと、生徒たちは効果的なレビューを行うことができる。肯定的なクラスメートからのフィードバックは書く意欲を増大させることができるし、他人の文章を読みフィードバックを与えることによって、自らのライティング力の向上も期待できる。
ポートフォリオの活用
ライティングのポートフォリオは学習者のライティングの作品を集めフォルダ一などにまとめたものである。完成品のみではなく、草稿や教員やクラスメートからのフィードバックなども含めて、すべて保存しておくとよい。
課題終了時や学期末にそれまでの作品やフィ一ドバックを振り返り・改善できた点・積み残された今後の課題や新たな目標を分析して、記録させることも効果的である。このような省察活動を通して、学習者は自分の成長の軌跡を振り返ることができ、自立した言語使用者として成長することができる。
このポートフォリオの活用は、語学学習に限らず、どの分野の学習にも役立つものである。
(参考)JACET教育問題研究会編『行動志向の英語科教育の基礎と実践』(三修社)