4技能
聴く、話す、読む、書く、という4技能は単独で技能を学んでも、実際の場面ではそれらを組み合わせて使うのが普通である。いろいろな人とインタラクションをしながらコミュニケーション能力を身につけることで、社会参加が可能になっていく。技能を組み合わせた英語を使って社会参加のための力を育成することが重要である。
技能別に考えると、「読む」と「書く」は文字を、「聞く」と「話す」は音声を用いる。また、機能別に分類すると、「話す」と「書く」は発信で、「読む」 と「聞く」は受信である。実際の場面では、文字を利用したり、音声を利用したりと併用する。さらには、受信だけではなくて、発信をするのであり、これらの技能や機能の組み合わせて活動する。
協同学習
実際の社会では、4技能を組み合わせて用いることが普通であるから、教室の活動もできるだけそれを見据えた活動にならなければならない。そのためには協同学習(cooperative learning)が効果があると考えられる。
協同学習とは、小集団を活用した教育方法で、生徒が共に課題に取り組むことによって、自分の学びと互いの学びを最大限に高 めようとするものであり、英語学習においても有効であると考えられている。
一斉指導
一斉指導とは、教員が教室で同一学年の学習者に対して同一内容を一斉に伝 達する指導方法である。学習者の机は黒板の方に向いて、学習者たちは椅子にすわって教員の説明に耳を傾ける。あくまでも個人学習者を対象にした指導方法であり、協同学習とは対照的な方法である。一斉指導は、学校教育を考案したコメニウスが開発したものであり、多くの国が教育制度を充実していく上で、経済性と効率性のために普及してきた。その効果は多大なものであり、人びとの識字率や計算能力の向上に大いに役だった。しかし、現在では、それを乗り越えた、アクティブ・ラーニングや協同学習が必要と認識されている。
協同学習への道
生徒の多くは、従来は、一斉指導を受けてきたのであり、学習に対して受け身であった可能性が高い。しかし、協同学習では、学習者が受け身では成立しない。その意味では、意識改革が必要である。クラスメートと一緒に学ぶという心構えを育成しなければならない。グループで学ぶ場合でも、役割を互いに押し付け合うことになりがちである。
役割分担は必要なことであり、リーダー、サブリーダー、タイムキーパーを決めることで各自の参画意識が高まる。なお、役割が交代することが望ましい。以下、どのような活動が可能か考えてみよう。
仲間を知るためのグループ内での自己紹介
自己紹介であるが、My name is …. I live in… My hobby is … などはグループ内で互いに知っているので真のコミュニケーションとはなりづらい。この場合では、グループ内で互いに知らない内容の紹介、例えば、My favorite musician is… What country do you want to go….. What place do you visit …… のようなより具体的な説明や質問の方が学習者間のコミュニケーションが真性になりやすい。なお、自己紹介が終わったら、各グループごとに代表が誰かの紹介をして、クラス全体に伝えるといい。
グループによるshow and tell
show and tell とは、一人またはグループで、写真や持ち物などの視覚教材を見せながら、説明をする活動である。例えば、自分たちのお気に入りの何か(ゲーム機、アクセサリー、本など)を持ってきて、それの良さ、なぜ素晴らしいか、などを手に見せながら説明をする。
ある文化や国を紹介
異文化理解に関することを紹介する。特定の国や文化を定めて、PowerPointなどで紹介する。 あるグループでどこかの国、たとえば、ニュージランドを紹介するとしたら、ニュージランド出身のALTの先生にインタビューしたり、ホームページを調べたりして、グループで勉強し合ってまとめてから発表したらいい。
ディベート
あるテーマについて、討論するのである。これはかなり高度が活動であり、英語にもかなり慣れ親しんだ生徒が行うのが望ましい。この場合は、pros and cons activities であり、それぞれが自分がどのような意見を持っているかに関係なく二つに分ける。原発について、賛成か反対かの意見を交わすのである。審判がいて、どちらの主張が妥当性があるか決めると面白い。
まとめ
学習とは一人でおこなうもの、教員の言ったことを覚えてゆくことという教育を受けてきた学習者が多いだろうから、アクティブ・ラーニング主体の授業は慣れるまでに時間がかかる。でも、それは必要なことであり、これからの英語教育の方向性を示しているのである。