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子どもに語彙を提供する順番だが、いろいろな方法が提案されている。ここでは、類似性と近似性という概念を考えてみたい。一つの語を提示するときは、孤立して提示するのではなくて、関連づけながら複数の語を教えていく方法が合理的であろう。
類似性だが、father – mother, white – black, sugar – salt, bicycle – car などである。同義的なものどうし、反義語どうし、色や形、機能などの類似性がある。なお、反意義も類似性の概念に含まれる。father – mother はparent という点で同一であり、その中で反義語である。要は何か共通の次元があってその上で対照的な関係にあるのだ。
近接性だが、father – strong, white – snow, cake – eat, sugar – sweet, bicycle – ride などである。二つの語が近くに接している関係にあるのだ。「もの」と「その性質」「その用途」の関係である。時間的な近接関係 bed, sleep、 因果関係上の近接関係、 overeat, gain weight 空間的な近接関係、tree, forest などである。
ところで、幼児は近接性による概念が覚えやすいと言われている。bottle, milk, warm, white などは自分がミルクを飲むことから自然と連想されてゆく。cake – plate – sugar – fork などを一緒に覚えるのは理にかなっている。Halloween にはcandy, witch, wolf, mask, hat, vampire などをまとめて覚えやすい。
類似性の概念を得るのは子どもがある程度大きくなってからだ。milk, juice, tea, coffee, water などを液体(liquid)とまとめて覚えたり、uncle は aunt の対立概念であることを覚えるのはある程度は抽象概念が理解できる年齢になってはじめて可能である。
英語ゲームのTwenty Questions はYes/No で出題者の頭の中に何があるのかを当てるゲームだが、世界を二つに分けてどちらかに属するか当てるのである。Man/Woman Living/Dead Famous/ Unknown などのように上手に分類法を駆使してゆくのである。これは子どもたちの類似性に基づく語彙習得の練習になる。
何歳ぐらいから類似性に基づいた語彙の提示をすべきかはまだ分からないが、小学の中学年ならば、もう可能ではないだろうか。