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英語にある英語帝国主義の側面

英語は今や国際語である。この国際語には、English as an international language という面と English as lingua franca という面の2つの面がある。前者は、公的な場面、国際会議・貿易・外交などで使われる面に焦点をあてたのであり、後者は商業活動や草の根の場面での交流の側面に焦点をあてている。しかし、この両者を厳密に分ける必要はないかもしれない。

English as an international language

英語は数多くの国々で使われるようになった。その結果として、もともとは英語を母語としない人で、英語使用者が増えることで、主に発音や語彙の面において、さらには統語においてさえも、特徴の異なる英語が現れてきた。それは、英語が国際化したことによって必然的に生じたことである。このようにそれぞれの英語を異端児として否定するのではなくて、これらの多少の違いを認めながら、それらは国際語として受け入れらられるようになっている。それらの英語は「国際語としての英語」(English as an international language)と呼ばれている。 なお、異なった特徴を持ちつつ世界に広がる英語を、その多様性を認めて一つの言語として位置づけて、「世界の諸英語」(World Englishes)と複数にして呼ぶこともある。

Englishe as a lingua france

—方のリンガ・フランカ(共通語 lingua franca)は、互いに異なる言語を話す人たちが交渉する際に、それぞれが理解可能な言語を用いている実情から生まれた考えである。言語が異なる人々が交渉するときの媒介言語は、ある言語を選んだり、互いの言語が混合した言語(ピジン・クレオール)を用いたりした。これらの媒介言語は、貿易や商取引で用いられたことから通商語とも呼ばれている(地中海での貿易商人達は使用した媒介語をリンガ・フランカと呼んでいた)。

交渉する当事者の間での共通言語であるが、歴史的にはギリシア語、ラテン語、フランス語、スワヒリ語、マレー語などが該当する。現在では、英語が政治的・経済的に大きな力を持つようになり、使用者が急激に増えてきている。そして、様々な分野において英語が多用されるに至り、頻繁に媒介言語として用いられている。例えば、航空業界では航空英語としてもっぱら英語が使われている。これらの状況をしめしたのが共通語としての英語(English as a lingua franca)である。

社内公用語

英語が世界中の多くの場所で、さまざまな場面での媒介言語となってきたことは間違いなく、そのために曰本でも英語を第二公用語にしようとする動きや社内公用語とする企業が現れた(例えば楽天)。就職では、TOEICの高得点者は採用が有利になる。さらには英語学習熱がこれまでにも増して英会話教室なども増えてきている。

英語帝国主義

しかしながら、このような英語の広まりに危惧の念を抱く人もいる。それは、それが英語帝国主義論である。

英語帝国主義(English imperialism)とは英語が世界規模で使用されることで 起こる種々の問題(例えば,英語母語話者が法外な利益を得るのに対して、他言語話者が不利益を被ることや、英語圏の文化や風習が半強制的に他国文化に入り込むこと)などを示した概念である。例えば、日本のショッピングモールなどを行くとほとんどの店の名前は英語かときたまフランス語である。これは、高級な衣服はアメリカのデザインであるという暗示を消費者に掛けてしまう。さらには、車の名前も英語である。高級車は欧米のデザインが一流だとの考えにつながる。

自国文化や言語

世界中の多くの地域と産業分野で英語が使われ、国際共通語(EIL/ELF)になるにつれて、このような英語帝国主義への危惧が声高に叫ばれるようになった。そして徐々に英語支配に対する問題意識が認知されるようになってきた。英語が世界標準語になるつつあるなかで、自国の言語や文化をどのように守るかが英語教育の分野でも意識されるようになってきた。

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