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ソビエトの発達心理学・言語学者のヴィゴツキーの内言と外言という概念は興味深い。

外言は、通常の音声を伴って、伝達の道具として使われる社会的言語のことである。それは、主語中心の構造をとり、文法的に整合性を持つというのが、外言の特徴である。内言は、音声を伴わない内面化された思考のための道具としての言語である。述語が中心的に意識構造をとり、圧縮や省略が多く、単語同士が非文法的に結合している。

幼児の言葉はコミュニケーションをするために他者に向けられた外言の獲得からはじまり、やがてそこから自己に向けられた内言へと分化してゆく。自己中心的言語はその過程上にあるとヴィゴツキーは考える。

自己中心的な言語は機能的には内言であるが、発声されるという外言の形式を取っているので、内言の本質的な構造を究明するための手がかりとなる。なお、ピアジェは自己中心的な言語はヴィゴツキーとは逆に、内言から外言へと発達してゆくための途上にあると考えた。ヴィゴツキーは外言から内言という発達段階を想定したのであるが。

参考:神谷栄司『保育のためのヴィゴツキー理論』(三学出版)

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