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今日は学生のIさんによるダイレクト・メソッドの説明である。この教授法は母語は使わずに目標言語で行う教授法である。それは、なるべく母語を使わないで生徒が自然と英語を英語のままで理解できるようにしながら、単語や文型を教えるために、動作、実物、写真、絵などの視聴覚教具を使うことが重要である。
文法訳読法の反省として生まれてきた方法であり、母語(日本語)ばかり使ってきた方法に対して、逆に英語だけを使って授業を進めようとする方法である。
文法などもダイレクトメッソドで説明しようとなると、例えば、家は森の中にある、木の間にあるという前置詞の違いの説明では、The house is among the trees. The house is between the trees. と二つの文章を示した後、その訳は述べないで、その状況を具体的に示す絵を見せて、子どもたちに理解してもらう。その授業の実演があった。

説明のあとの、質疑応答の時間だが、一人の学生が自分が高校の時に先生がすべて英語で話してくれたので、何を言っているのか全然分からなかった。その授業は自分にはちんぷんかんぷんであったと述べた。その場合の対策だが、教師はやはりポイントポイントは日本語で話すのは必要かもしれない。Iさんはそのような趣旨で質問に回答していた。
私見だが、ポイントは日本語で説明してくれると生徒が知ってしまうと、真剣に聞かなくなる。一切、日本語は使わないで説明をするというならば、生徒はどうしても真剣に聞き取らざるをえない。その場合は英文のレベルを下げて、とにかく英語で話してゆくことが必要だ。ただ、日本人同士が英語で話すことの不自然さだ。外国人教師が英語で話すと、日本語は分からないことは生徒は理解できるので、真剣になる。日本人の先生の英語の話は、どうしてもコミュニケーションが「にせもの」という意識が生じてしまう。その意味では、心から英語でコミュニケーションをするという気持になれない。このことも問題であろう。