○
文法・訳読法は英語教育界では評判が悪い教授法で、現代ではコミュニケーション重視の教授法が大切だとよく叫ばれている。大学の英語教育の場でも、近年は原書を翻訳させて、それを訂正する方法は時代遅れだと学生達からも批判されることが多い。英語科教育法の授業では、学生にこの教授法の概要を発表させて、どのように考えているか見てみた。
この日はIさんの発表であった。まず、文法訳読法は「第一言語を使って、第二言語の文法などの規則を教え、その規則を応用しながら、単語練習や訳読練習をおこなう。文法の内在化を図り、読解力を高める教授法である。そのような説明から始まった。
この教授法のメリットとして、短期間で効果的に学習ができる点である。want に続く不定詞の用法を教えたいならば、I want to travel around the world. のような文を提示して、want という動詞は次に不定詞を取る。そして、不定詞には、to travel, to speak, to swim などの動詞を入れ替えて、文を作成させれば、ある程度の応用力が付く。
ただ、音声面の発達が見込めない点が大きな問題になる。原文を朗読させるとか、入れ替えた文を暗唱するなどの方法もある。しかし、これはコミュニケーションにはならない。コミュニケーションにするには、別の教授法が必要となってくる。
ただ、文法を教え込む、これは外国語学習の基礎になるのだが、その点を鍛える点は、従来の文法訳読法は十分に機能していると思う。
Iさんの説明はだいたい、以上のような点であった。小学生などの授業では応用は難しいが、中学生以上では十分に使える教授法であると私自身は考えるのである。
前期では、Aさんがこの教授法の説明をしていた。それを下に貼り付けておく。
https://gakusei.gengo21.com/archives/1503
https://gakusei.gengo21.com/archives/827