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今日の学生の発表は、KさんとKuさんによる、トータル・イマージョン・プログラムとオーディオリンガル・アプローチであった。
まず、トータル・イマージョン・プログラムの説明をKさんがおこなった。
このハンドアウトだが、Kさんはちょっと筆記ミスをしてしまい、イマージョンと書くべきところをイマジネーションと書いてしまった。イマージョンとはimmersionであり、「浸りきる」という意味だ。お風呂でお湯に完全に浸りきる姿を考えてみたい。そのように外国語の世界に浸りきるとことを意味する。
イマージョンプログラムは1965年にカナダのケベック州で、英語を母語とする子どもたちにフランス語を教える方法として導入されたのだ。トータルイマージョンならば、学校では、完全にフランス語で各教科を教わることになる。そして、この方法が成功を収めた、と、つまり英語にもフランス語にも堪能は生徒を生み出したと言われている。
英語とフランス語のような似た言語の場合は可能なことでも、日本語と英語のような言語的にかなり遠い言語どうしの場合は、いくつか勝手が異なることがあるだろう。二つの言語が両方とも堪能になれば、加算的バイリンガリズムであり、両方とも中途半場になれば、減算的バイリンガリズと呼ばれている。
聴衆の学生から、デメリットとされているが、何故この教授法は高価なのか、という質問が出たが、これはネイティブの先生をたくさん採用するという意味で費用がかかるからであろう。
次はKuさんのオーディオリンガル・アプローチについての説明があった。ハンドアウトの「音声重視授業表」とあるが、「表」はミスプリであり、「法」と直すべきである。学生はハンドアウトを仕上げるときは、誤字脱字がないようにしっかりとチェックしてほしい。このブログでは発表者のハンドアウトを掲載している。それは、次年度の学生達が先輩達がどのようなハンドアウトを作成したのか、参考として見たいからである。発表者自身はハンドアウトが提示されるのはいやかもしれないが、発表するということは、それだけの責任・緊張のかかることであるので、重圧を乗り越えてほしい。
さて、オーディオリンガル・アプローチとは、文の音声面での反復練習が中心となる。教師が自分の肉声で、あるいはCDで模範例を示して、それを生徒が反復するのである。そして、入れ替えの練習もする。There is a cup on the desk. ならば、cup の代わりに、spoon, dictionary, と入れ替えて発話する。またdesk の代わりにchair, table などの語を入れ替えて発音練習する。
これは単に音声を教師の指示に従って繰り返すだけだから、コミュニケーションとは言えず、生徒は退屈するかもしれない。その意味ではこの教授法の限界でもある。ただ、この教授法はそれまでの文法・訳読法に対する反省の上に生まれた教授法であり、今までとは異なり音声に焦点をあわせたという点に、この教授法を評価すべきであろう。