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「小学生にどのような語彙指導をおこなったらいいのか、論ぜよ」という題でレポートを書かせた。その内容を記すので、それをもとにして考えてゆきたい。文面は若干変更をしてある。
小学校と中学校の授業では、語彙のレベルは簡単なものにすべきである。中学生になれば受験などもあるために、スペルは積極的に教えていきたいと考えている。小学校では、難しい単語のスペルを間違いなく書かせるようなことは不要だと思われる。小学校では、なによりも英語を好きになってもらいたい。スペルを教えたとしても簡単なあいさつ文が書けるぐらいでいいと思う。その理由として、まずは書くことよりも、歌や読み聞かせなどのアクティブティをとおして、楽しく英語に触れてもらい、英語に触れることへの楽しさを覚えてもらいたいからである。よって、語彙については、Appleなどの簡単かつ覚えやすい単語、または自分の身の回りに存在するものの言葉から教えたいと考える。スペルを教えることよりも前にローマ字で英単語のきれいな正しい書き方から教えるべきと考えている。
上記の学生のレポートであるが、とにかく楽しく覚えてもらいたい、という点に中心があるように思う。その点はいいのだが、もう一つ絞り切れていない面がある。語彙指導だが、話し言葉としての語彙指導と書き言葉としての語彙指導がある。この学生は語彙指導イコール書き言葉、英単語のスペル指導と考えているが、実際は話し言葉としての指導から入るべきである。つまり、アップルという単語は覚えても、apple というスペルの読み書きは不要な段階がある。
(1)語彙指導は話し言葉からすすみ次に書き言葉から進めばいいと思う。でも、現状は同時進行か、あるいは書き言葉から進む場合もある。
次の問題点は、児童にどのような語彙を教えるかである。児童が興味を引きそうな語彙を教えることがいいのだが、どのような語彙が児童の興味を引くであろうか。We Can やLet’s Tryに出てくる単語はすでに適切な語として選択されているのであろうが、その地域・学校特有の語彙を加えることも可能である。また、季節に応じて、snow, Christmas, Haloween, summer vacation などを付け加えるのがよい。
(2)地域や学校特有の語彙を付け加えることも可能である。
また、男女の差が出てくる。男の子の関心ごとと女の子の関心ごとは異なる。ジェンダー的にかたよらないように語彙を選んでもいいが、時には、男の子の好きなウルトラマンや怪獣などの語彙を選んでもよい。また、女の子ならば、人形遊びや着せ替えに関する語彙を提供してもいいだろう。
(3)男女の関心の違いも考慮する。
上記のレポートでは、アクティブティをとおして英語に触れるとあるが、これは正解であろう。お店の名前や果物、野菜の名前などは、お店ごっこをするといいだろう。Bakery, Grocery, Shoe Shop, Toy Shop などをそれぞれ開設して、そこで売る品物を紙を切り抜いて作りそれに英語名をつけて、買い物ごっこをすれば印象的に覚えられるだろう。なお、英語ゲームなどはアクティビティを通して英単語を覚える最適な活動である。
(4)アクティビティを通して英単語を覚えてゆく。英語ゲームなども活用できる。
書き言葉としての語彙指導は小学校の5,6年生から本格的に始める。アルファベットの読み書きはもうすこし早めだが、国語の時間でおこなうローマ字の読み方と時期的にバッティングする。このあたりの調整はどうするか難しい。また、アルファベットは小文字から教えるか大文字から教えるか。現代では筆記体はおしえないが、ブロック体だけでいいのかという問題がある。
(5)アルファベットは高学年から本格的に教える。
語彙を拡大するには連想力を鍛えるのも一つの方法である。シンタグマティックな関係による連想から、パラディグマティックな関係による連想へと成長するにつれて変化していく。
(6)syntagmatic knowledge からparadigmatic knowledge の連想へと児童は成長するのでそれを利用する。