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英語科教育法の授業で、「自分はどのような英語学習者になりたいか」というタイトルでレポートを課した。この場合は、「自分は」とは文字通り「自分」という個人がどのように学習をするかと解釈することも可能であるが、その他に、一般的に「英語学習者」はどのように学習したらいいのか、を論じることも可能であろう。英語学習法の授業の課題であったので、個人の事情を語る学生もいれば、一般的なあり方を語る学生もいた。
ここで提示したのはある学生のレポートである。この学生は、やや一般的な英語学習者の視点から述べてあるようだ。そのレポートに対して、若干のコメントをしてみたい。なお、元の文を修正してある箇所が数カ所ある。
私は、英語を学ぶ学習者として以下の3つのことを意識したいと思う。
一つ目は、人と積極的にコミュニケーション活動を行うことである。今までの授業で考えたことを思い出すと、人とのコミュニケーション能力は社会から求められているものであり、コミュニケーション活動を通して英語で自然な会話がだんだんできるようになっていくのではないかと気づくようになった。「英語が苦手であまり話せない」「英語に自信がない」から会話に消極的になるのではなく、話せないからこそ簡単な言葉だけでも会話に参加していくことが大事と考える。
二つ目は、情報機器を使う能力(機械を用いて英語のやり取りをおこなう能力)を身につけることである。現代の学習にはiPadやスマートフォンなどの電子機器が活用されている場面を多く見かける。最近は小学校や中学などでもタブレットを使って学習を進めることもあるとテレビで知った。これらの機器を生かした学習も進んでおり、活用することで調べ物をすぐ行ったり、インターネットを使った学習が可能になったりと様々な学習方法で学ぶことができるようになる。情報機器を使いこなせる力を高めることで自身の学習に生かせるようにしたい。
三つ目は、学習を続けることである。何の学習でもそうだが、言語を学んでいると毎日学習することの大切さを感じる場面が多い。少し学習をやめると英語を使う能力が低下し、以前なら聞き取れたことがきけなくなったり、会話に使うフレーズを忘れたりしてしまう。学ぶことを継続することでより確かな力が身につくと考えた。
今回、学習者としてのことを考えることで、学習者としてどのようなことを大切にしていきたいか整理することができた。自分が教える側に立った時の指導に役立つと思う。
レポートでは、3つの点を強調している。積極的にコミュニケーションを取ろうとすること、情報機器を使いこなすこと、継続して学習すること、の3点である。
「積極的にコミュニケーションを取ろうとする」には、教室内でペアワークやグループワークに積極的に話すことであり、教員やALTと英語で話す機会を持とうとすることである。ただ、これには先生の授業がコミュニケーション重視の授業でなければならない。この様なレポートを書くことで、学生は自分が教室内で「積極的にコミュニケーションを取ろうとする」には、教員の役割が大切であることが分かる。教員がそのような授業をしてくれなければ成立しない。そのことで、将来に自分が英語教員になったときに、そのあり方が見えてくるのである。
「積極的にコミュニケーションを取ろうとする」には、現在の日本では、教室外では難しい。それを補うのが情報機器である。メールやスカイプで外国人とコミュニケーションを取ることができる。YouTube やビデオも役に立つ。つまり、積極的にコミュニケーションを取ろうとすることを補うのは、情報機器の使用によるのである。
最後の継続して学習するのは大切である。これは英語学習とは限らない。しかし、英語は技能訓練という側面があるので、毎日練習することが大切である。関心がなくなったから、しばらくお休みをしよう、というわけにはいかないのである。関心がなくなったとしても最低限の技能保持の努力はすべきである。
学生のレポートは3つに視点を絞り学習のあり方を述べている。これで合格点だ。ただ、あと異文化理解のことについても触れて欲しかった。英語学習を通して、英語圏のみならず、世界の各地の文化を知ることができることも述べてくれれば、よりよいレポートになったと思う。