2015-10-13 男と女による違い
泣くということ。W.H.ルレイ2世によれば、アメリカの白人の泣き方について、女性は月平均5.3回泣くが、男性は平均1.4回しか泣かない。一ヶ月で一回も泣かなかった人は女性が6%で、男性が45%である。(野村雅一『身振りとしぐさの人類学』中公新書 p.125)男性は泣くということが社会的にタブーとなっているが、女性はそのタブーはあまりない。 葬式では泣くことが要求される。泣き女という習慣、中国や朝鮮半島、能登地方。
握りこぶしをつくるときは、男性は通常親指を外にして握るが、女性は親指をうちにして握るという。(同書p.169)
相互の関係を何らかの形で、自己表示することがある。それを示さないとおかしい。
親子、夫婦、同僚、隣人、先輩と後輩、上司と部下
身体の接触
道を歩く男女をみると、男と女、上司と部下、年上と年下という関係が分かる。
手をつなぐかどうか
男同士が手をつなぐのは、アラブの場合、日本では女性同士はよく手をつなぐ。
京都での観察(身振りとしぐさの人類学p.30-31)
歩行者の2割がカップルである。そのうち、6割が非接触型、4割が手をつないだり、腕を組んだりすると言う。
カップルは
①速度が遅く、一緒の速度である。
②カップルは柔和な顔、笑顔
③視点が同調したり、絡んだりする。
④歩きながら、会話をしている。
⑤時々、相手の体にさわる。
これは、各自の関係を公衆にdisplayしていると考えられる。
一緒でない関係の場合は、それを示さなければならない。
Deborah Tannen デボラ・タネン教授は、コミュニケーションの様式における男女の違いを以下のように説明した[26](Wikipedia のコミュニケーションより)。彼は、男性が他の男性と多様な状況で関与するのに対して、女性は他の女性と協調的に関与すると考えた。例えば、
• 男性は公的な状況で話す傾向がある。女性は私的な状況で話す傾向がある。
• 女性は対面して視線を合わせながら話すことが多い。男性は視線をそらして話すことが多い。
• 男性は、話題から話題へと飛び移るが、女性は一つの話題にある程度の時間をかける。
• 人の話を聞く時に、女性は「うん」とか「そうね」などと声を出しながら聞くことが多いが、男性は黙って聞くことが多い。
• 女性は、賛同と支持を表現することが多いが、男性は、論議することが多い。
Wood 教授は、男女のコミュニケーションについて、研究に基づいて、以下のような見解を述べている。
• 相互に働きかける方式が、男性と女性では異なるので、誤解が生じる。
• 男性と女性とでは、支援や興味や世話を与える方式が異なっている。
• 同じメッセージであっても、男性と女性とでは異なった意味で受け取ることが多い。
• 女性は、コミュニケーションを、人間関係をより親密にするための手段であると考えている。
• 男性は、コミュニケーションを、目標を達成するための手段であると考えている。
• 女性は、話を聞く場合には、話し手に対する興味を示し相互の関係を深めるために、相槌を多く入れたり、非言語的な同意の反応を多く行っている。
• 男性は、話を聞く場合には、話し手の言う内容に賛成するか反対するかを示すために、フィードバックを行っている。
• 女性にとって、「うん」とか「そうね」とか「ええ」は、話の内容に興味を持って聞いていることを意味する。
• 男性にとって、「うん」とか「そうだ」とか「ええ」は、述べられたことに対する賛成の意思表示を意味する。
• 女性にとって、話をすることは、他の人と親しくなるための主要な手段である。
• 男性にとって、目標を共有して仕事を遂行することは、他の人と親しくなるための主要な手段である。
• 男性は、他の人と具体的に何かを一緒にする時に、相手への配慮を表現することが多い。
• 女性は、男性が配慮を表現する仕方が分かれば、男性によって精神的に傷つけられることを防ぐことができる。
• 男性は、女性が配慮を表現する仕方が分かれば、女性によって精神的に傷つけられることを防ぐことができる。
• 女性は、男性に配慮を表現したい場合には、男性のために何かをするか、あるいは男性と一緒に何かをすれば、効果的である。
• 男性は、女性に配慮を表現したい場合には、配慮していることを会話で伝えれば、効果的である。
• 男性は、独り立ちしていることを強調するために、仕事を遂行する上で人に助けを求めることを好まない。
• 男性は、道に迷った時に人に道を聞くことは、女性よりもずっと少ない。
• 男性は、自主独立を大切にしており、自分の弱点や無能力をさらけ出すことを嫌う。
• 女性は、男性よりも、人間関係の中に自分の独自性(アイデンティティ)を見出すことが多い。
• 女性は、男性よりも、他の人との人間関係を求め、それを歓迎する。
• 男性は、人間関係は自分の自主独立を脅かすものだと考える場合がある。
• 女性にとって、人間関係とは、興味、注目、情報伝達の絶えることのない源泉である。
• 男性にとって、人間関係は、最も中心的な重要なことではない。
• 「私たちについて話をすること」は、男性と女性にとって、非常に異なったことを意味する。
• 男性は、人間関係がうまく行っているのなら、その人間関係について話す必要は無いと考えている。
• 女性は、人間関係について話をする場合にだけ、その人間関係はうまく行くと考えている。
• 女性は、「男性が人間関係がうまく行っているのならそれについて話をする必要がないと考えていること」が分かれば、精神的に傷つくことを防ぐことができる。
• 男性は、女性のコミュニケーションのルールを尊重することにより、女性とのコミュニケーションを改善させることができる。
• 女性は、男性のコミュニケーションのルールを尊重することにより、男性とのコミュニケーションを改善させることができる。
女性の声は最近低くなってきている。それは女性の社会進出と関係がある。テレビ放送が始まった頃の女性アナウンサーの声は、現在の女性アナウンサーの声よりも随分と高かった。
政治、経済、社会の問題を議論するには、音程の高い可愛らしい声は馴染まない。
英語が堪能な電話係の人に対して、アメリカ人が対応がプロフェッショナルでないと苦情が出る。日本人は丁寧な対応で声も可愛くてと評判がいい。
サッチャー首相は声を低くするトレーニングを積んで首相としてのイメージ作りをしたという。 八代京子他著 『異文化コミュニケーション・ワークブック』(三修社より)
日本人は中国人の話をがやがやしてうるさいと感じる人が多い。