スポンサーリンク
2016-02-16
4年間という大学での学習期間に、学生に日本語のきちんとした能力を付けさせるためには、その能力を正確に測る必要がある。それにより、教員の授業方法へのフィードバックと再構築が可能となる。この能力の測定・評価のためにCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)のレベル分け(A1,A2,B1,B2,C1,C2)を利用することが考えられる。
現在では、外国人の日本語能力を測る「日本語能力試験」はCEFRからの影響を受けて、N5からN1までとレベルを分けている。しかし、この試験は、外国人留学生の日本語能力を測るには有効であるが、日本人学生の日本語能力を測るには有効でないと考えられる。
ただ、このCEFRの考え方を土台にして日本人学生の日本語能力を測り、また目標設定に利用することは可能と考えられる。従来の日本語の能力を測る試験では多くの場合に客観性を担保するために、4択問題から選択した正答数を数えたりしたが、これは日本語能力の測定法としても問題がある。さらに、学生に示す目標としても動機づけに乏しい。
正答率を70%に上げようというような目標設定よりも、CEFRの考え方にそって、たとえば、「自分の専門とする分野の論文を読んで要旨を掴むことができるようになる」のように「何ができる」のかを明示した目標設定が動機づけとして有効である。
今後の日本語コミュニケーションの授業においては、「クラスメートの前で自分のレポートの内容を要領よく数分で説明できる」とか「自分の専門の講義を細部にわたり理解できる」のような目標設定の方が数値目標の設定よりも有効であろう。
スポンサーリンク