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学習指導要領とは、学校教育法施行規則を根拠として文部科学大臣が示す、教育課程の基準である。小学校、中学校、中等教育学校、高等学校、盲学校、聾学校、養護学校の各学校と、それぞれの各教科について、その内容を詳細に規定している。なお、幼稚園に関しては別に幼稚園教育要領が定められており、また、保育所に対しては、幼稚園教育要領に準ずるものとして、厚生労働省から保育所保育指針が出されている。

学習指導要領は、おおよそ10年ごとに改訂がおこなわれている

戦後、1947年には教育基本法と学校教育法が相次いで成立し、新しい学校制度が定められた。そして、その新しい学校において教授される具体的な教育内容を示すガイドラインとして、アメリカのCourse of studyを参考にした最初の「学習指導要領・試案」が作られた。(これは試案であることに注意すること、各学校でのかなりの裁量権を認めていること、学習指導要領は拘束力をほとんど持っていなかった)

戦後の教育改革は、戦前の天皇制的臣民教育を否定し、子ども一人ひとりの人間的・人格的な発達をめざした。アメリカの影響の下に、児童中心主義教育、経験主義教育を採用して始まった。以下、学習指導要領を示す。


1947年版学習指導要領は、手引きという立場であり、各学校での裁量権が大きかった。「自由研究」が新設された。  

1951年版の学習指導要領では、自由研究は廃止され、教科以外の活動(小学校)、特別教育活動(中学校)と改められた。

(1956年には、高等学校の学習指導要領のみ改訂された。)

1958年に告知されて、1961年から実施となる。この学習指導要領は、様々な点において日本の戦後教育政策の転機となるものであった。1点目に、1958年版学習指導要領から「試案」の文字が正式に消え、法的拘束性を帯び始めたのである。2点目に、「道徳」の時間が新設された。3点目に、これまでの児童中心主義教育からの転換が図られた。

1968年、学習指導要領の改訂の告示、1971年から実施される。現代化カリキュラムといわれる濃密な学習指導要領。時代の進展に対応した教育内容の導入で教育内容の現代化を実現を試みる。この当時はソビエトのスプートニクスの打ち上げ成功がアメリカの教育界に衝撃を与える。

1977年、学習指導要領が改訂が告示される。1980年から実施される。「人間性」「ゆとり」「個性」といったキーワードの並ぶ人間中心主義的教育課程であった。

1989年、学習指導要領の改訂が告示される。1992年から実施される。臨教審の影響を強く受けている。

1998年、学習指導要領の告示、2002年から実施される。戦後7度目の改訂の学習指導要領である。学習内容の大幅な削減(円周率は3など)、完全学校週5日制の実施、総合的な学習の時間の新設など、今までのものに比べて大幅に改訂されたものであったため、一般には2002年度がいわゆる「ゆとり教育」の始まりとされている。

2008年、学習指導要領の告示、2011年から実施される。戦後8度目の改訂の学習指導要領。ゆとりでも詰め込みでもなく、知識、道徳、体力のバランスとれた力である生きる力の育成を実現。脱ゆとり教育とも呼ばれている。

2017年(平成29年)3月改訂。戦後9度目の改訂の学習指導要領。小学校の学習指導要領と中学校の学習指導要領は文科省のサイトから見ることができる。「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」の導入やプログラミング教育の充実が図られる。小学校では2020年(平成32年)度、中学校では2021年(平成33年)度から完全実施される。小学校の授業時数は6年間で現行より140コマ増えて5785コマとなり、前回の改訂から2回連続の増加となる。これは、小学3、4年生に「話す」「聞く」を中心に教科以外の教育活動(領域)として学習する「外国語活動」を、これまで小学5、6年生で行っていたものを前倒しして週1時間(年間35コマ)行い、小学5、6年生は「話す」「聞く」に加えて「読む」「書く」も含めた「外国語」と正式な教科として週2時間(年間70コマ)行うことにより、授業時数が増加したのである。高等学校では、外国語科では、「聞くこと」「読むこと」「話すこと」「書くこと」を総合的に扱う科目群として「英語コミュニケーションⅠ・Ⅱ・Ⅲ」を設定し、Ⅰを共通必履修科目とするとともに、外国語による発信能力を高める科目群として「論理・表現Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」を設定する。この「論理・表現」は、「発表、討論・議論、交渉」などにおいて、聞いたり読んだりしたことを活用して話したり書いたりする統合型の言語活動によって、発信能力の育成を強化するための科目である。

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