2016-05-04
小学校の学習指導要領の英語に関していくつかポイントを述べてみたいと思う。文科省のサイトは次をクリックすること。
(1)小学校の学習指導要領は第1章が総則で第2章が各教科である。そこに英語の授業はなくて、第4章の外国語活動に入っている。
これは過渡的な段階であると考えられる。次回の学習指導要領の改訂の時には、各教科の中に入るだろう。中学校では外国語として各教科の一番最後に入っているので、第10章 外国語となると考えられる。(その時は、成績をつけるようになる。専科の教員がやがては必要であるが、どのような免許状を出すことになるのか。)
(2)中学校からは、「外国語」という表記なのに、小学校では「外国語活動」となっている。(次の改訂では、小学校の5~6年生は教科としての外国語、小学3~4年生は外国語活動を行うとされている。)
(3)改訂前は「総合的な学習の時間」は第1章の第3の「総合的な学習の時間の取り扱いについて」の中で以下のように述べられている。
(5) 国際理解に関する学習の一環としての外国語会話等を行うときは,学校 の実態等に応じ,児童が外国語に触れたり,外国の生活や文化などに慣れ 親しんだりするなど小学校段階にふさわしい体験的な学習が行われるよう にすること
ここから読み取れるのは、特に外国語=英語とは考えなくていいこと、むしろ狙いは国際理解教育であるように思える。
しかし、この当時に多かった小学校への英語教育の導入への強い反対をかわすために、国際理解教育への配慮を強調したと考えられる。
(4)「第1 目標」の箇所は「コミュニケーション」との文言が強調されていること。さらに「素地を養う」という文言の解釈がポイントとなる。
外国語を通じて,言語や文化について体験的に理解を深め,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り,外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませながら,コミュニケーション能力の素地を養う。
とりあえず、「体験して、態度を育成して、慣れ親しんで、素地を養うこと」であり、実際的なスキルの育成は中学校からと読み取れる。
(5)音声中心であること。文字教育は教えてもいいが補助的にすること。(ただ、小学校の高学年になると知的な関心も高まるので、文字教育を無視するのは難しいのではないか)
- イ 外国語でのコミュニケーションを体験させる際には,音声面を中心とし,アルファベットなどの文字や単語の取扱いについては,児童の学習負担に配慮しつつ,音声によるコミュニケーションを補助するものとして用いること。
(6)外国語=英語となっていること。「(1) 外国語活動においては,英語を取り扱うことを原則とすること」という文言がある。
(7)Notional -Functional Approach で行うことが必要である。
オ 外国語でのコミュニケーションを体験させるに当たり,主として次に示すようなコミュニケーションの場面やコミュニケーションの働きを取り上げるようにすること。
- 〔コミュニケーションの場面の例〕
- (ア) 特有の表現がよく使われる場面
- ・ あいさつ
- ・ 自己紹介
- ・ 買物
- ・ 食事
- ・ 道案内
昔の英語テキストのように、This is a pen. のような文法の形式から入る方法ではない。実際の活動の場面から理解していく方法である。
(8)「体験的なコミュニケーション活動」を行うこと。(日本のようなEFL国で、英語の体験的なコミュニケーションを経験できる機会は少ない。学校はその少ない機会を与える場を提供すべきなのだ)