2016-05-18
言語習得に関していくつかの補記を行う。
(1)第一言語の習得と第二言語の習得は異なる。(第二言語という表現と外国語という表現がある。母語以外の習得はまとめて第二言語習得、second language acquisition とすることが多い)
(2)第一言語の習得は、ある一定の年齢を超えると不可能とされている。それを臨界期(Critical Period)と呼んでいる。幼いころに言語習得の機会を与えられなかった子供は、臨界期を過ぎてから言語習得の機会を与えられてもついに習得はできなかったという例がある。
(3)第二言語の習得は、第一言語のように厳密な臨界期は存在しない。つまり何歳になってからでも習得のチャンスはある。しかし、若いころのほうが習得は容易であるという傾向はある。
(4)従来は言語習得は習慣形成(habit formation)であると信じられていた。行動主義的心理学(behaviorism)に基づくモデルとされている。模倣(imitation)や反復(repetition)によって子供は言語を習得すると考えられていた。
(5)そのために、音声を聞かせて、模倣、反復をする教授法として、オーディオリンガルが脚光を浴びた。
(6)子供の言語習得は単に大人の言語を真似るのではなくて、創造的に学んでいくことが知られるようになった。自分で言語のルールを発見をするのである。人間には接する言語を介して言語理解をしていく能力があるようだ。それを言語の生得性(innate capacity to learn language)と呼ぶ。
(7)第一言語を習得してから、第二言語を習得する。第一言語を習得しないで第二言語習得はありえない。第一言語習得は誰でも可能だが、第二言語習得は人により千差万別である。
(8)普遍文法、中間言語、正の転移、負の転移、化石化(fossilization)等の用語がある。