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2016-06-07

日常生活をこなすレベルの言語力を「生活言語能力」(Basic Interpersonal Communication Skills: BICS) と呼ぶ。一方、学問をする論理的に考える能力を「学習言語能力」(Cognitive Academic Language Proficiency: CALP) と呼ぶ。日本人の子供ならば、だいたい10歳ぐらいでBICSは完成するし、中学生以降はCALPの習得に向けて全力投球となる。BICSとCALPを区別することは大切である。

小学校の教員が教室に外国からの子供たちを迎え入れることがある。数ヶ月で日本語の発音を習得して、友達とは日本語を普通に話せて、一見日本語をすでに習得したように見える場合がある。そのような外国人の子どもであっても、教室での先生の講義や教科書が全く分からないという例もある。これは、生活言語能力は備わったが、学習言語能力はまだ備わっていないからである。その意味では、外国人の子どもの言語能力がどの程度であるかを見極める必要がある。

外国からの子どもたちは、「生活言語」レベルの日本語は比較的早くに達するが、書きことばの修得とも関連する「学習言語」の修得には苦労することが多い。どの言語の母語話者でも初等教育・中等教育の9年間、あるいは12年間をかけて、やっと書き言葉の基本を身に付けていくのである。学習言語能力(CALP)の習得には、日常会話ができるレベルの生活言語能力(基本的対人コミュニケーション能力、BICS)を習得するために要する時間の、さらに何倍もの時間をかけて学習しなければならない。

学習言語能力を身につけることで、目標言語を深く理解することができるようになる。学習言語能力は「書き言葉」と深く関連する。そのために、目標言語で書かれた文をたくさん読む必要がある。真に理解したかを見ていくためには、どうしても文法訳読式に頼らざるを得ない部分がある。同時に、目標言語での学問の内容に関する受け答えができるようになる必要がある。

どのレベルを目標とするかによって、学習の方法が異なってくる。生活言語能力を身につけるのであれば、機械的な訓練でもかなり用が足せる。条件反射的に何かに答えることができる必要がある。しかし、学習言語能力レベルまで身につけようとするのであれば、書き言葉の習得は必要である。さらに、学習言語能力の特徴として、論理的な思考力が基本であり、これは母語の学習でも鍛えられていることが多い。つまり母語習得の際に身につけた論理的な思考力を目標言語習得に活用することができる。


セミリンガルとは、バイリンガルの言語能力を示す。バイリンガルの言語能力は、いくつかの場合に分けられる。まず、①二つの言語とも十分な能力を有している場合がある。次は、②一方の言語だけ十分な能力を有しているが、他は不十分な能力に過ぎない場合である。③二つの言語とも不十分な場合がある。セミリンガルとは、③の場合に該当する。これはダブルリミッテドとも言われいる。

海外赴任によって、子供を海外の学校に入れる場合がある。その場合は、英語と日本語のBICSのレベルには達するのである。しかし、CALPまで達しない場合がある。どの言語でもいいから、一つの言語でCALPの段階まで達する必要がある。そのようなことを理解した上で、子供の教育を考えていかねばならない。

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