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2016-06-08

小学校での英語活動はどうしても歌やゲームを中心に行っている。とにかく、楽しい授業をと心がけているのだが、はたしてそれが子供たちにとって楽しい授業になるのであろうか。毎回、同じような歌やゲームを行っていくと次第に飽きてくる。あるいは、機械的にCDを聞かせて発音練習を行ったり、フラッシュカードで単語を覚えさせても、英語学習の動機付けを保てるかどうかが疑問である。

今までの英語活動は、小学校の高学年の子供たちの知的発達段階にふさわしいレベルの内容といえるのであろうか。さらには、多くの小学校で行われている英会話が、決まったパターンに基づく「繰り返しの練習」である点であろう。これで英語への動機付けに強く結びついていくのか疑問である。

Piaget によれば、人間の思考は、次のような段階を得て成長するという。

(1)対象の認知を感覚と運動に依存する「感覚運動期(0~2歳前後)」
(2)自己中心的でごっこ遊びを行う「前操作期(2~6歳前後)」
(3)数や量の保存概念、可逆的操作、具体物への論理的思考が可能な「具体的操作期(6~11歳前後)」
(4)形式的、抽象的操作や仮説演繹的思考ができるようになる「形式的操作期(11歳~成人)」

以上である。この小学校5、6年生の発達段階は、だいたい最終段階への移行期、すなわち具体的思考から抽象的思考への転換期に当たる。英語活動もそれを重ねた形にならなければ真の意味の動機付けにはならない。他の科目は、算数では文章題を使っての論理的な解き方の訓練を行う。理科ではより高度な実験および結果の分析、自らの環境問題や生物界の生き様、社会では時事問題に対する批判的思考が訓練されるのであり、子供たちの学習したいという動機付けは深く満たされるのである。

他教科との関連を生かした英語活動の指導の工夫」によれば、家庭や体育、算数、社会の科目と関連させて、5回の授業で、「英語でクラスの「好きなものランキング」を調べよう」という英語活動を行っている。
(1)1日の生活の中で行う活動をジェスチャーで表したり、好きな活動を質問し合ったりする。”What do you like?”  “I like watching TV.”
(2)「朝食」にかかわる英語を使って「朝食当てゲーム」をしたり、好きな朝食について質問し合ったりする。 “What  fruits/drinks/staples do you like ?” 
(3)「みそ汁の具」を表す英語を使ってゲームをしたり、好きな具について質問し合ったりする。“What do you like in miso soup?”
(4)食品分類表にある食品を表す英語を使って「食品探しゲーム」をしたり、好きな食べ物について質問し合ったりする。 英語を使って緑の色の野菜や果物をたくさんあげるゲームをする。
(5)「ランキング発表会」を開く。 一番人気のあるお菓子や、果物、パンとご飯はどちらが好まれるか、などを発表し合う。


これらの活動は興味深いのだが、やはり毎回かなりの準備が必要である。活動であるから、活動させなければならない。教員としては、本を与えてその上で黒板で説明していく方法が一番やりやすい。それになると、英語で書かれた教科書を用いて授業を進めていくことになる。児童の動機付け、関心を保てるか、などが問題となる。

なお、有名なGardner たちの統合的な動機付け、道具的な動機付けは、ある程度、成長してからの動機付けになる。子供のうちは、単におもしろいからという動機付けであり、それをどちらに分類するかは、不可能なようにも思える。

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