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2016-06-15

「音素」とは「語と語の意味を区別する機能を持つ音声の最小単位である」。あるいは、客観的には異なる音であるが、ある個別言語のなかで同じと見なされる音の集まり、とも言える。/p/,/k/のようにスラッシュを使って示す。音素の違いは意味の違いをもたらすのだが、これは「弁別的 (distinctive) な価値を持つ」と言い換えることができる。

音声表記ならば、人類が発するあらゆる言語音を対象とするのである。それは、言語音をありのままに記述し、記述したものから正確に音声を再現できること。であるから、網羅的に、精密に、客観的に記述されることが望ましい。そして、国際音声学会により国際音声記号としてあらかじめ定義されている。その数は150個以上であり、補助記号つきも数えれば、さらに数倍に増える。音声表記は [ ] でくくって記述する。

音声表記がきわめて普遍的な性質をもち、他言語の音声同士を比較するようなことも頻繁に行われるのに対し、音素表記は個々の言語内でそれぞれに定義され完結しているもので、言語同士の比較に適したものではない。日本語、中国語、フランス語、イタリア語の /r/ がそれぞれ全く違う音に聞こえる、といったことが起こるが、そもそも他言語の音素表記同士を比較すること自体が無意味なことなのである。多数の音標を扱わざるを得ない音声表記が独自の特殊な記号をあらかじめ多数用意しているのに対し、音素表記では記号の数は比較的小数で済むため、特殊な記号に頼る必要が比較的少ない。 日本語の [ɯ]、[ɾ] をそれぞれ /u/、/r/ で記述するなど、扱いやすくて直観的にもわかりやすい「普通のアルファベット」を多用するのが一般的である。

音はさまざまな条件のもとで異なって発音されるが、言語話者によって同じ音だと認識される場合、それぞれの音は音素が同じということになり、それぞれの音はある音素の異音と呼ぶ。ミニマル・ペアを使うことによってその言語がもつ音素の範囲が特定できる。

(これらの文は、Wikipedia の「音素」から引用したものを若干加筆修正したものである)

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