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2016-06-29

英語を聞き取る際には、その英文を理解するのに必要な予備知識(schema)があれば、理解は容易になる。

TOEIC の試験問題で、クリスマス、楽器の演奏、誕生会の風景、レストランでカードで支払いなどに関して設問が出た場合だが、単に単語を知っているだけでは、理解が十分にはすすまない。事前に、西洋社会でのクリスマスの習慣、たとえば贈り物の交換、キャロルを歌う、冬景色、サンタクロースなどについての事前の知識があるとないとでは、その理解度に格段の差が出て、TOEICのスコアも大きな差が出てくる。楽器ならば、実際に弾いたことのある人、楽譜を読んだことのある人は、かなり自分の保有する知識に頼ることが出来る。(逆に言えば、TOEIC がそのように culture-oriented の部分を減らしていかないと各文化圏に対して公平な試験になり得ない。近年、その点は改善が進められているようだ。)

スキーマには、教材に含まれる新出単語・熟語の意味や文法などの formal schema と、学習者が持っている文化的な知識などの content schema の2種類がある。

formal schema の一つとして文法的な知識、たとえば5文型などの知識がある。これらの知識を活用して文の構造を想定することが出来る。あるいは、会話の文ならば、基本となる文を示して、その過去の表現や過去の疑問文の表現に注目させる。そして、新しい文を提示するときは、その部分 formal schema を活性化して利用する。

content schema だが、英語を聞き取る際にその文化的な背景(content schema)を知っていれば、理解を助けることになる。テキストのはじめに日本語で書かれた introduction があったりすると理解度を高めることにつながる。さらには、絵、写真、地図などがあれば、効果的である。

その他:最新の医学情報の交換を目的とする英語の学会発表では、医者同士の情報交換はある程度はスムーズに行く。それは、医者たちは共通の医学用語を知っていて、最新の医学情報をある程度共有しているからである。その情報を使って、つまりスキーマを使うことで、言語的な不足を補うことができる。つまり医者たちは単語をいくつか聞くだけで、この発表者は何を言おうとしているのか見当がつくのである。

スキーマ理論とは(コトバンクより)

知識の構造を表現する手段であるスキーマに関する理論。スキーマとは,いくつかの物事に共通して現れる型についての情報を表現したもので,その語源はイギリスの心理学者 C.バートレットの 1932年の論文により提示された。

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