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2016-06-30

鳴り物入りで始まったJETプログラム、そしてその中でも ALT は非常な注目を浴びるようになった。しかしいくつかの問題点が指摘されている。

まず、外国語教育指導に補助的役割を果たすALTに対して、外国語教育に携わることの出来る資格(英語教育の免状)が求められていない点である。現在の時点では、求められている要件の主なものには、学士号を有していることだけである(4)を参照のこと。さらには、指定された言語の書き言葉および話し言葉において優れた能力を有していること、などがあげられている(6)。また、(1)(2)は当然のことであり、要件とはいいがたい。それに反して、肝心の教育者としての資質は問われていないのである。日本人の教員の免状が失格していて大問題になることがあるが、ALTに関してはきわめて寛容である。以下、JETプログラムの応募要件から引用する。

(1) 日本について関心があり、参加者となった後もすすんで日本に対する理解を深める意欲があること。日本の地域社会における国際交流活動に参加する意欲があること。

(2) 心身ともに健康であること。

(4) 外国語指導助手又は国際交流員に応募する者は、大学の学士号取得者又は指定の来日日までに学士号取得見込みの者であること。(外国語指導助手に応募する者は、3年以上の初等学校若しくは中等学校の教員養成課程を修了した者又は指定の来日日までに同課程を修了見込みの者であることでも可。)

(6) 指定言語について、現代の標準的な発音、リズム、イントネーションを身に付け、正確かつ適切に運用できる優れた語学力を有していること。また、論理的に文章を構成する力を備えていること。

現場でもALTの資質について疑問の声が挙がっているようである 。しかし、これは当然のことになろう。採用の時点で資質は必要な要件として問うていないのであるから、資質に関する問題が生じてくるのは当たり前なのだ。これは立場を変えてみればすぐに分かることである。日本語が話すことが出来るからといって外国人に日本語を効果的に教える資格があるとは普通は考えられない。

ただ上記のALTの資質についてのものは中学校や高等学校については該当するが、小学校における外国語(英語)活動を議論するときには、教員としての資質以外に他の要素が加わってくる。小学校における英語活動では、言語教育よりもむしろ異文化理解、国際理解の側面が強くなるからである。もちろん、だからといってALTの教育者としての資質について何ら問題はないという風にはならないのだが。

なお、現今では、日本人のホームルーム担任が英語の授業をになうべきなのだが、英語が苦手だったり英語を話すことにまだ慣れていないので、ALTに丸投げした授業を行うことがよく指摘されている。ただ、これは過渡的な現象であると考える。小学校でも専科制が取り入れられ、小学校英語の免許を持った教員が数多く生まれるようになれば、ALTと真の意味でのティームティーチングへの可能性が高まる。

ALTの応募要件
ALTの応募要件
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