2016-07-20 更新 2017-12-15
学生の英作文の指導はどうしたらいいのか。添削することで英作文の改善に役立てることができる。
自分はいままでに英語の論文を書いて、それをネイティブの人に見てもらいチェックしてもらったことがたくさんある。それらの添削してもらったものは修正後も捨てないで、スキャナーに読み込んでいる。時々パソコンなので読み返すとその度に発見がある。自分が定冠詞の使い方が分からないなとか、不定詞の使い方が甘いとか。
学生はどうしているのか。英語を専門とする学生は教員の添削結果を見て自分の欠点を直すだろう。そのような学生は採点結果を大事に取っておくことが多いだろう。ときには採点結果・添削の内容に納得がいかないので噛み付いてくることがあるかもしれない。
英語を専門としない学生で、単にテストをパスするだけが目的の場合は、返却された答案をあまり見ないですぐに捨てるかもしれない。英語など早く忘れたいという気持ちが見えるのだ。
自分の二人の息子、長男は返された答案は保存しておいて、時々見直していたが、次男は返却されるとよく見ないですぐに捨てていた。かなり勉強への態度が異なっていた。
さて、英作文の指導には添削が欠かせない。添削する場合は二つの場合があると思う。まず、①授業で習ったことを確認するために英作文を行わせる場合と、それから②英作文能力一般を見ることが目的の場合である。
授業で play the violin というような言い回しを教えて、「楽器を演奏する時は、定冠詞 the を付けるのですよ」と生徒に教えた場合は、その次の時間に定着したかどうかを見る試験では、当然 the のあるなしは重要な添削ポイントとなる。
しかし、英作文能力一般を見るときの添削は別の話になる。自分の採点の方針を掲げると下のようになる。
(1)5文型は大切な概念である。5文型という文法構造を教えるか否かは別として、採点者はその概念を持っているといいと思う。
解答の文が SV, SVC, SVO, SVOO, SVOC などの形式が決まっていれば、基本点は与えるべきだと思う。逆に言うと、動詞が一番後ろに来たり、目的語が動詞の前に来たりする文は基本が分かっていないと判断する。
(2)各要素にどの品詞が来るか分かっているかどうかを見る。主語の位置に形容詞が来たらおかしいし、目的語が副詞だったりする文もおかしい。これらの(1)(2)の間違いは重大な間違いなので、必ず訂正するし大きく減点する。
(3)副詞は文にとって重要な要素ではないので、あまり気にしない。どこに位置してもいいのだ。もちろん、慣用的にどこに位置すべきか大体決まっていてそれを守らないと不自然になるのだが、それは不自然なだけであって間違いとは言えない。
(4)冠詞や前置詞の間違いはあまりうるさいことは言わない。減点するとしてもほんの少しである。
(5)スペルミス、ピリオド、コンマの間違いは指摘するだけで減点しないことが多い。
だいたい、以上のような方針である。これらは大抵は和文英訳の答案の採点添削である。これ以外に、自由英作文がある。この場合は、内容を重視する。どの程度、自分の意見が表明されているか、トッピックセンテンスは大丈夫か。結論は素直に導かれているか、などである。重視する点が異なるのである。
以上、学生の態度、文法事項の一部か全般を見るべきか、和文英訳か自由英作文かで添削採点の基準は異なってくる。
(1)自由英作文(内容重視で採点する)
(2)一般的な英作文能力を測る場合(文型などの骨組みができているか見てゆく)
(3)授業の復習としての英作文(前回教えたことができているかを中心に見てゆく、そこを中心に点数を与えてゆく)