ライティングの指導をするには
ライティングの指導(高校生レベル)はどうしたらいいのか。通常は(1)和文英訳と(2)自由英作文がある。自由英作文でも、まったく自由になんでも書いていいという場合と、課題を与えて、その課題に沿って英作文をしていくパターンがある。
学習指導要領では
学習指導要領では、「コミュニケーション英語Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」と「英語表現Ⅰ、Ⅱ」で行われている。ライティングに関しての究極的な目標は「2内容(2)エ.論点や根拠などを明確にするとともに、文章の構成や図表との関連、表現の工夫などを考えながら書くこと、また、書いた内容を読み返して推敲すること」である。
CEFRやCAN-DOリストの視点から
このレベルがCEFRではどれくらいに該当するのか是非とも知りたいところである。日本でも、文科省が各学校にCAN-DOリストの作成を促す手引きを発表している(文部科学省「各中・高等学校の外国語教育における「CAN-DO リスト」の形での学習到達目標設定のための手引き」2016年)。ただし、文科省は現段階では、全国一律のCAN-DOリストを示すのではなくて、各学校の実態に即して作成することを要請している。それにより、各学校は生徒の学習到達目標をCAN-DOリストの形で把握して、生徒の達成状況に対応して授業計画を練り直すのである。
文科省の手引きの表現は、すべての中学・高校が作成することが望ましい(小学校では現段階では求めていないが)であるが、将来的には、小中高のすべてにおいてCAN-DOリストの作成が義務化されると思われる。
なお、「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」では、中高生に求められている英語レベルを現行よりも高めている。中学校では現行のA1からA1~A2へとなり、高等学校では現行のA2~B1からB1~B2へ、と明記されている。現段階では、高等学校の英語のライティングはA2~B1ということになる。(もしも将来、小学校段階でも必要となるならば、A0というレベルを想定する必要が出てくる。
CEFRのライティングの該当部分だが、CEFR の日本語訳にアクセスして調べてみる。すると、総合的な書く活動に関しては、B1では、「一連の短い別々になっている要素を一つの流れに結びつけることによって、自分の関心が及ぶ身近な話題について結束性のある簡単なテクストを書くことができる」であり、A2では、「「そして」「しかし」「なぜなら」などの簡単な接続詞でつなげた簡単な表現や文を書くことができる」と記してある。
文科省の学習指導要領の描写は、B2の「いろいろな情報や議論をまとめて評価した上で、自分の関心がある専門分野の多様な話題について明瞭で詳細なテクストを書くことができる」に近いようである。しかし、多くの高等学校の実態は、B1であり、また進学校でない高等学校では、A2レベルのライティング力である。
実際の指導は(1)
文科省の定める目標がその理想であるとするならば、実際の場面では、やや単調とも思えるような形でのライティング練習である。その順番として以下のようになる。
(1)教科書の文章を理解して暗記すること。反復練習すること。
(2)覚えた英文の応用練習をすること。
(3)数々のライティング活動、パタン・プラクティス、日本語を手掛かりに作文(和文英訳)、Q&Aによる文の作成をすること。
実際の指導は(2)
(4)パラグラフライティングの書き方を覚える。各パラグラフが時系列につながる場合、因果関係でつながる場合、主張と反論など、様々なバターンがあることを理解する。
(5)Free Writing (とにかく書いていくこと、量をこなすこと)
(6)自由英作文をする。
(7)プロセスアプローチ(書くという行為がどのようなプロセスから構成されるか理解すること、それによってB2レベルへの達成が可能になってくる。(日本語でも作文はどのようにしているか反省させること)。