テストと評価について考えてみる。以下、2冊の本(浅羽他『分かりやすい英語教育法』三修社、岡田他『基礎から学ぶ英語科教育法』)を参考にする。
(1)規範参照テスト (norm-referenced test) と基準参照テスト (criterion-referenced test)
規範参照テスト (norm-referenced test)には、能力テスト/熟達度テスト(proficiency test)とクラス分けテスト(placement test)がある。このテストは全般的な能力を測り、全体の中での相対的な位置を調べる。相対評価である。英検やTOEIC が該当する。受験者の得点は正規分布曲線を描く。
基準参照テスト (criterion-referenced test)には、到達度テスト(achievement test)と診断テスト(diagnostic test)がある。学習者が目標にどの程度到達しているか測定するテストである。授業で学習した知識をどの程度身に付けたかを測定する評価である。テスト範囲を決めて行う中間テスト、期末テストなどが該当する。全員が到達度に達していなければ全員がゼロ点になったり、全員が達していれば全員が満点になることもある。
(2)主観テスト (subjective test) と客観テスト (objective test)
主観テスト (subjective test)には、自由作文(free writing)、制限付き作文(controlled writing)、要約(summary writing)、英問英答(questions and answers)などがある。記述式のテストであり、採点が主観的になる。
客観テスト(objective test)には、正誤問題(true or false)、多岐選択法(multiple-choice)、組み合わせ(matching)、穴埋め(completion, fill-in)、並べ替え(rearrangement)、誤文訂正(correction)、クローズテスト(cloze test)などがある。採点者がだれであっても同じ答えが出る。採点は容易だが、準備に時間がかかる。
(3)望ましいテスト
1)テストの信頼性(reliability): 同じレベルの受験者が受けたら常に同じような結果がでることである。(○×式の問題ならば、正解する確率が半分なので、問題数が少ないと信頼性が薄れる)
2)テストの妥当性(validity): テストが測定すべきものを本当に測定しているかどうかである。(たとえば、英文和訳の問題で、解答の日本語に漢字の間違いがあったとしたら、減点するのか、無視するのか)
3)テストの実用性(practicality): テスト問題が容易に作成できて、採点も簡単に正確にできて、費用の掛からないテストは実用性の高いテストである。
(4)評価
1)診断的評価(diagnostic evaluation): 学習の前に生徒が何を知っているのか、何ができるのかなどを知ることを目的とする評価である。この評価に基づいて指導計画を立てる。入学時や学年、学期の初めに行う。
2)形成的評価(formative evaluation): 授業が適切に行われているかどうかを評価する。それによって、授業の速度を速めたり、緩めたり、内容を高度にしたり、分かりやすくする。小テストやワークシートのチェックが含まれて、授業の軌道修正などを行う。
3)総括的評価(summative evaluation): 成績評価のための評価である。