子どもたちのリテラシー能力を高めることは必要である。子どもたちはだいたい6歳ぐらいから学校に通い始める。学校教育の目的の一つは書き言葉を子どもに教えることである。だいたい、これぐらいの年齢がリテラシー能力を身につけるのに適切である。
当然、前提条件として、音声言語能力を身につけていることである。音声言語能力は自然の中でみずから身につけるが、リテラシー能力は学校教育という制度を介して覚えていくのが通例だ。
話し言葉では情報が「現在」「この場所」に限られてしまう。しかし、書き言葉を身につけたならば、時間的・空間的な制限を超えることができる。(近年は話し言葉も遠くに伝達したり、保存して時代を超えて伝えることが可能になったが、これは近年の傾向であり、ここではそのことは考慮しない)
また、正確に伝えることが可能になった。紙に残すことで情報が確定される。伝言ゲームという遊びがあるが、話し言葉で伝えていくとどうしても情報のゆがみが出てくる。そのことからも何か厳密性を要求する場合は書き言葉が有益であることが分かる。
リテラシー能力が現代人のもっとも重要な能力である。たとえば、リテラシー能力を身につけることなく社会に出た若者は、高い地位や報酬を約束してくれる職業に就くことは難しい。現代はどの仕事もかなり知的になっており、高い水準のリテラシー能力なしで仕事を遂行できない。その力がないならば、単純肉体能力の仕事となる。これは他国に移住した若者が移住先の言語のリテラシー能力がないために陥る問題点である。
リテラシー能力を身につけるには、音声言語能力と比べるならば時間がかかる。語彙や文法への配慮が格段に高い水準が必要となるからである。