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○(2016年12月8日 投稿 2018年11月4日更新)

語彙習得

語彙習得とは、ある物を認識して、それに名前をつける(その名前を知る)行為である。物に名前があることを知ると、それらの名前を知ろうとする。その時期は1歳半から2歳にかけて語彙が増大する語彙増加期において顕著となる。

その時期には、物を指し示す行為をする「指さし行動」を始める。逆に言うと、指さし行動が始まると、言葉が出てくるとも言える。

過剰拡大と過小拡大

語彙に関しては過剰拡張と過小拡張がある。過剰拡張は自分の知った語を他の語の範疇にまで拡大することである。たとえば、「ブーブー」という言葉を「車」だけでなくて、すべての乗り物、「自転車」「オートバイ」にまで拡大することである。

過小拡張は、自分の知った語が他にも使えることを知らないことである。「お手々」が自分の手しか示さないと思って、他人の手にも適用されることに気づかない点である。次第に「お手々」が他人の手をも示すことに気づくようになる。なお、過小拡張は過剰拡張ほど多くは見られないと言われている。

子どもは言語経験を積むことにより、過剰拡大や過小拡大がなくなり、正しく語彙を理解して使うことができるようになる。

言語獲得は単に語彙が増えるだけではない。その語と他の語の関係性を理解できるようになることである。

Syntagmatic knowledge とParadigmatic knowledge

Syntagmatic knowledge は、その語がどのような語とともに使われるかの知識である。つまり、どのように Syntax を形成するかの知識である。他は、Paradigmatic knowledge である。語の意味に関する知識であり、類義の語や上位や下位の範疇の語に関する知識である。

幼児は語彙の増大につれて、この二つのネットワークが拡張されてゆく。なお、連想ゲームなどの結果から、子どもは語を与えるとSyntagmatic knowledge な視点から連想語を挙げてゆくが、大人はParadigmatic knowledgeの視点から連想語を挙げていくそうである。

つまり、子どもの語彙のネットワークは、当初はSyntagmatic knowledge に基づいていたのだが、次第に Paradigmatic knowledge に基づくようになる。この変化は5歳~10歳に間に起こると言われている。

なお、これは言語学でいう類似性と近似性の概念とも結びつく。次の記事を参考のこと。

語彙の習得には階層がある。当初は基礎水準の語彙を覚えるが、それから細分化された分類である下位水準、または大きな分類である上位水準へと発展してゆく。

語はどのように連想されるか

Syntax とは構文のことである。The dog ran fast. のような文を子どもが覚えると、dog , ran, fast などが互いに結びつくのである。一方のParadigmatic knowledge では、dog の代わりにmonkey, horse, cat が置き換えられるのであり、そこからdog, monkey, horse, cat が連想するのである。あるいは、ran, swam, ate,jumped であり、fast の代わりにhard , happily, wonderfully などが置き換えられるので、それらが結びつくのである。(アレン玉井光江(2014)『小学校英語の教育法』大修館書店) 

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