自分は英語科教育法Ⅰ、Ⅱという授業を担当している。あと2回ほどで今年度の授業は終了する。使った教科書は『わかりやすい英語教育法、小中高での実践的指導』という三修社で出版している本であった。
この教科書を使ってみての感想である、まあまあいい教科書であったと思う。
ただ、問題点としては、この教科書は小学校から中学校そして高等学校の英語教育のすべてについて網羅しようとしている。であるから、授業担当者は30コマという少ない授業数では、どうしてもカバーする範囲が限られてくる。自分の学生がどの段階の教員を目指すのか、重点の置き方が初等教育か中等教育のどちらを目指すかで異なってくる。
自分の学生は初等教育の教員を目指すのであるから、少ない授業時間であったならば、この教科書の小学校の英語教育や児童英語教育の部分を中心に説明をすれば良かったと思っている。
このあたり、人によって考え方が異なり、やはり、英語教育一般に関して、浅くてもいいから網羅的に教えるべきとの意見もあろう。私としても実は本音は迷う点もあるのだ。来年この教科書を使うとしたら、焦点を絞るか、それとも網羅的にするか、その両者の中間を狙うかまだ最終的には決めていない。
小学校の先生で英語の免許を取ろうとしている人がいる。その人達のための講座が開かれた。私も講師としてお話をした。このときは、小学校の先生が受講者とはっきり決まっているので、小学校英語に特化した教科書がいいだろうと思って、『小学校英語の教育法、理論と実践』(大修館書店)という本を教科書として使った。理論編はしっかりしているし、またその実践例も豊富である。授業で実際に使えそうなゲームやチャンツの実例があるのでありがたい。
ただ、小学生は飽きやすいので、ゲームも同じようなゲームでは効果的ではない。教員はここで提示されたゲームだけにはとどまっていないで、これを参考にして、自分でさらに工夫して適用させていくか、あるいはネットなどを参照して面白そうなゲーム、歌、言葉遊びなどを取り入れるといいと思う。要はレパートリーを広げることだ。
文科省は近年は、コミュニケーションという言葉をキーワードにして、従来の授業からの脱皮を教員に要求している。日本のようなEFL国でコミュニケーションを主体にした授業は成り立つのか。むしろ、コミュニケーションに関心を持つきっかけを与える方に中心をおくべきと考える。具体的には、YouTube の活用、スカイプ、Facebook, Twitter などの活用で、授業外で生徒達はコミュニケーションを主体的に取っていく機会がある。それを奨励して、その道しるべを提示するのが一番だと思う。
ここで言及した本は以下の2冊である。