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言語習得に関する臨界期仮説について、学生に「どのような仮説」か尋ねる内容の試験をしたところ、次のような解答があった。この解答がだいたい満点だろうと思うのでここに披露する。若干語句の修正をしてある。


言語獲得(及び第2言語習得)における臨界期仮説とは、臨界期と呼ばれる年齢を過ぎると言語の習得が不可能になるという仮説である。母語の習得ならびに外国語の習得の両方に関して使われる。なお、第1言語と第2言語の両方の習得に関して年齢が重要な要素となっていることは定説となっているが、はたして臨界期なるものが本当に存在するのか、また、存在するとしたら、それがいつなのか、などについてはたくさんの議論があり、仮説の域を出ていない。

野生児または孤立児と呼ばれる子どもたちがいる。この子どもたちは、成長のある時期に人間社会から隔絶されて育ったのである。これらの子どもたちは、後に教育を受けても言語能力、特に文法に従った文を作る能力については著しく劣ることが知られている。

また、外国語の学習でも、一家で国外へ移住した移民の親よりも子どもの方が外国語の早く上手に使いこなせるようになることはよく知られている。このように、母語と外国語の両方の習得の様子からも、年齢が大きな影響を与えていることは、日常の経験からも言語学の研究結果からも納得されることである。

年齢が上がると言語を習得することが困難になる原因については、様々な説が提唱されている。しかし、年齢以外の要素を除外できない可能性があるという批判もある。例えば、脳生理学的な変化や心理的な影響も原因であるとする説もあるが、現在では、はっきりと解明されていない。されに加えて、言語能力のそれぞれの分野についての臨界期は異なるとの説もある。例えば、発音については、かなり低い年齢に臨界期が存在するという強い証拠があるが、語順などの頭語的規則についての臨界期は遅いとの主張もある。


以上である。臨界期仮説はあくまでも仮説である。子どもは小さいうちに英語を教えなければならないという強迫観念を親に与えることになる。その意味で、あくまでも仮説であり、その反証とも言える実例、遅い年齢から言語学習を開始しても立派に言語を習得した例があることを挙げておきたい。

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