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英語科教育法の時間に、Extensive Reading と Intensive Readingを授業でどのように使い分けるか学生に質問しところ、以下のような答えがあった。参考までに、下記に紹介しておく。
ある学生の答え
Extensive Reading とは、英語のインプットを増やすことを目的としてとにかくたくさん読むことである。日本語では多読という。この多読とは反対に、語句や文法などの説明を聴きながら読むことをIntensive Reading (精読)という。
精読は、語句や文法を理解しながら少しずつ読んでいくので、文法などの力がつく。一方で多読は、とにかくたくさん読むことを目的としており、生徒の意欲向上を目指し英語の語句やフレーズが自然と身につくことを期待している。
私が中学3年生に教える時は、この二つを組み合わせて授業を展開したいと考える。まず、導入として多読を活用する。生徒が関心があったり面白いもの、レベルにあった本を10分ほど辞書を使わずに読む。このとき、レベルにあった本を選ばないと、生徒は読むときにもうやる気が失せてしまうので、面白くてレベルにあったものにすることが大切である。
また、日本語で読んだことがある本を使うと、関心を持って読めるし、内容をだいたい知っているので、苦労せずに読むことができる。そして読み終わった後に辞書などで分からなかった語句を調べる。そして内容についてや文法について説明したりする。ここで精読を活用する。
こうして、組み合わせることを取り入れることで、読むことに抵抗がなくなる。そして本を読みながらストーリーを楽しみ、そこから英語のフレーズや表現を学ぶことができる。また、自然と英語が身につくことが期待できる。さらに精読を入れることで、語句や文法を学ぶことができると考えた。
私のコメント
以上が学生の答えである。要は、一つの方法だけではなくて、二つの方法を組み合わせながら進めるのがいいとの考えだ。ただ、中学校や高校では、授業時間数が限られている。両方を組み合わせるのがいいのだが、どうしても Extensive Reading への十分な時間が割けない場合がある。その時は、家庭で読んでくるか、朝や昼休みの時間を活用して、英語の多読をすることはいい。
週に数回の英語の時間では、どうしても黒板で教えなければならないこと、文法中心になるのは仕方がない面がある。英語の時間を教科書の訳読や文法の説明を行ってしまう場合は、家庭外の多読と組み合わせるとよい。そうすれば、生徒からの「英語の授業では文法ばかりしていた」という苦情も減るのではないか。
教員の役目は子どもたちのレベルにあった副読本を紹介することである。図書館や、教室の後ろにでも、英語の副読本の本棚をおいて生徒に選ばさせるとよい。
私自身の経験から
中学生から高校生は記憶力があって、好奇心がきわめて盛んなときである。自分自身が高校に入学してたくさんの教科書を購入したときに、こんなにたくさんの科目を覚えることなどが果たしてできるのだろうかと、頭がくらくらしたことを覚えている。でも、結果的には何とか授業について行くことができて、その中には、今でも記憶に鮮やかに残っているものもある。
とりわけ、英語の教科書や副読本で渡された随筆(James Kirkup)は今でも内容を覚えている。自分の生き方にもなにがしか影響を与えている。中学生や高校生に対する英語や国語の教材の選択は非常に重要だと思う。それがその子どもたちの後々までのメンタリティー(人生観、世界観、恋愛観、他者との関わり)を決めてしまうと思う。多読の際の本の選択は、教師は是非ともいい本を選んで欲しいと思う。