Facilitator としての教員
近年は、教員は「教える人」(instructor)としてよりも、むしろ「促進者」 (facilitator)あるいは「媒介者」(mediator)としての役割が重視されてきている。つまり、生徒の自主性を引き出す参加型授業が求められるようになってきている。
従来は、教壇の上から教員が生徒に知識を一方的に伝達するとことが授業であった。すると、英語の授業では、発話量が一番多いのは、教員になってしまう。本当は、生徒の方の発話量が教員よりも多い方が望ましい。教員は生徒に指示を与える時に、英語で指示をするくらいでいいのである。
ただ、教員がfacilitator となるためには、授業の前に入念に準備をし、指示が明確で、学習者が 実際に動きやすいようなタスクを豊富に取り入れることが必要である。授業中は、教員は教室内をまわりながら。必要に応じて側面から手助けをする。ただ、生徒の自主性を引き出す参加型の授業なのであるが、やり方を間違えると、教室内がうるさく混乱する恐れもある。そのためにも、しっかりとしたタスクを付くっておいて、明確な指示を出す必要がある。
学習者が子どもであるよりも、学習者が大人であり、企業内トレーニングなど成人学習の現場では非常に有用な方法になりうる。学習者の年齢などの要素も考慮すべきである。
Partner やCoachとしての教員
教員の役割としては学習の良き「パ一トナー」(partner)である。上下関係よりも、平行関係の中で導いていくとのニュアンスがある。さらには、学習を導く「指導者(coach / trainer)である。実際に目標言語である英語を用いて、生徒の見守る中で技能を披露するという意味では「演技者」(actor / performer) とも考えられる。
理想の教員とは
よい英語教員とは、これらの役割を時と場に応じて柔軟に使い分けること のできる人である。まとめると。
①生徒に常に共感的態度で接 して、どんな生徒でも受け入れることのできる「懐の深さ」が必要である。
②生徒の実態や要求に常に耳を傾ける。学習者の個人的な情報、文化的背景、英語への態度、英語力、英語に何を望んでいるかなどのニーズ分析を行う。的確な指導や助言ができる「プロとしての自 覚」を持つ。
③授業改善を怠らず、アクション・リサーチやPDCAなどを通して日々研鑽を行う。
④言語を教える者として、積極的に人とコミュニケ一シヨ ンをとったり、英語があふれ出てくる「コミュニケ一ターとしての適性」を持っていること。
これらの特性をすべて持つことは必ずしも可能ではない。ただ、これらの目標に向かって日々努力する教員、アクション・リサーチや自分の授業をPDCAサイクルで回していける教員になることで、これらの特質に一歩でも近づくことができる。