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今日の授業では、英語の教授法の説明と実演を各グループに発表してもらう。今週は、文法訳読法、オーラルメソッド、トータルフィジカルレスポンスの教授法である。学生の発表と実演を順次説明をする。
文法訳読法
はじめに、文法訳読法の紹介があった。4名の学生が紹介した。New Crown 3年用の教科書を用いている(下の写真では真ん中の教材)。文法訳読法は学生達の中学や高校における授業も主に文法訳読法であったそうだ。実演だが、まず、全員でコーラスリーディングをする。次に教員役の人が黒板に教科書の文を書いてゆく(丁寧な分かりやすい字だ)。そして、学習者にあてて一行ずつ訳させる。訳を受けて、文法的に重要な点は、赤チョークの矢印などで文法的な構造を示している。今日の熟語である make A B は「A をBにする」remind A of B は「AにBを思い出させる」という意味であることを説明していた。

私からの補足説明としては、文法訳読法は長い期間、用いられてきた方法であり、現代でも通用する面もある。特に学習者の年齢が上がると知的水準も上がるのだが、それに対応しやすい方法である。一概に時代遅れの方法と片付けられない面があることを説明した。
オーラルメソッド
次はオーラルメソッドであった。次のグループの4名が発表した。音声中心の教授法であるとの説明がまずある。そして実演に移る。黒板に絵が描いてある模造紙を貼り付ける。そして、棒で指した図が示す英語を学習者は大きな声で言う(模造紙は上の画像の一番左側の教材である)。みんなが図と英語と音声が結びついたところで、ゲームをした。
学習した単語が書かれてある図をカードにしたものをグループごとに配る。それをグループ内のメンバーで取り合いする。百人一首の遊びを思い出してほしい。4名でサークルを作る。教壇に居る教員役の人が英単語を読み上げる。一斉にみんなでそのカードを取り合おうのだ。このゲームは結構、学習者には受けた。参加していくうちに皆エキサイトしていった。その後で何枚カードを取ったのか発表である。最高で10枚ほど取った人がいた。10枚取ったチャンピオンは立って、みんなからの賞賛を受けていた。
私からの講評は、この教授法は音声と文字と絵の3つを上手に結びつける方法である。しかもゲーム感覚で参加できるようにしてある点は面白いと感じたとのコメントであった。
トータルフィジカルレスポンス
次はトータルフィジカルレスポンス(Total Physical Response)であった。1960年にAsher が考え出した方法である。英語だけで指示が行われて、日本語の介入がない点が特徴だと発表者が説明する。
実演だが、小学生用には、動物の鳴き声の入っている音楽を聞きながら、鳴き声の箇所でその動物の真似をする方法であった。動物の鳴き声が聞こえるたびに真似をする。動物たちは、pig, dog, duck, horse, cow, cat である。身体で動物の特徴的な動きを演じながら、動物の名前を覚えるという方法である。
次は中学生用の学習ゲームである。Happy, Angry, Sad, Hungry, Sleepy, Good という形容詞を覚えるのだ。その材料は上の画像の一番下のプリントである。これらの形容詞を用いて、Are you happy? Yes, I am happy. との対話を横の人と行う(Happyと言うときは、自分もHappyな顔をする)。次は、教室内を回ってできるだけ多くの人とこの対話として、終わったら、相手に自分の名前を書いてもらう。 最後にnameを書いてもらった人の数を競い合うのだ。一番多い数は6名に名前を書いてもらった人がいて、この人がチャンピオンだ。この人がクラスの賞賛を浴びるのだ。
私からの講評としては、形容詞を覚えるのに役立つやり方である。身体を用いて形容詞を覚えればなかなか忘れないとコメントした。
なお、一般に、Total Physical Response は単純な形としては命令を与える方法だ。確認の意味で、私からその実演を最後にした。私は学習者に対して、Stand up! Raise your right hand! Bow to your classmate. Go to the door and touch it. Scratch your nose! などの命令を与えて、その動作をさせた。一般にはこれがTotal Physical Response だが、今回の学生の実演は、もう一ひねりして、参加者の自主性とゲーム性を付け加えたのである。