スポンサーリンク

Silent Way

Silent Way は英語教授法の一つです(Silent Method とも言います)。この名称を聞くと「英語教授法でありながら、Silent とは不思議だ」と感じる人も多いでしょう。 カレブ・ガテーニョ(Caleb Gattegno)が提唱したこの教授法は問題解決能力の利用が特色です。学習者の問題解決能力を引き出すために、教員は問題を提示した後は、ひ たすら沈黙を守るのがこの教授法の基本的理念です。人間性重視のアプローチで、Community Language Learning などと同様に、Humanistic Approach の一つと考えられます。

教授法の特色

提唱者のガテ-ニョは、学習者が自己の認知力に対する自信から独立心が生じるように、そして学習に対して主体性と責任感を持つようになることを求めています。彼は、「教員は教材や活動をコントロールして学習目的を明示することは必要だが、学習自体は学習者の内部に生ずることなのだから、正答を賞めたり誤答を訂正したりすることで、学習を妨害してはいけない」と主張しています。ですので、教員の発言は非常に少なくて、授業時間の90%以上が学習者の発話となります。教員は、すべてをコン卜ロールする人ではなくて刺激を与える人なのです。

学習者が学習事項を覚えて繰り返すよりも、発見するか創造するならば学習が容易になります。そして、物を仲介することにより学習が容易になります。 問題解決をすることで学習が容易になります。この方法では、発見学習,帰納的方法、学習者は独立心・責任感などがキーワードになります。

教員はモデルを示したり説明をしたりすることはありません。沈黙することで学習者の気づきを促します。学習者は学習に集中して、単語や文を暗記することなく、仮説を立てて検証する作業を繰り返すことで、言語を機能として使うための判断基準を構築してゆくのです。

入門期の発音指導でも、教員はは1,2度モデルを聞かせるだけで、後は正しい発音をするようにジエスチャーで促します。教員が指示をくり返さないことを承知している学習者は、真剣に聞きます。ただ、互いに助けあいます。誤って発音した場 合でも、教師は直接の訂正はしないで、正しい発音を他の学習者に出させて、 それをフィ一ドバックとして利用します。

 同様にして身近な単語を与え、次にいろいろな長さや色彩の棒(rod)を用いて、基礎的な構文や英語の音調が、母語を介さずに教授されます。初期の段階で興味深いのは同じ音を表わす音節は全部同じ色で書かれたチャート(wall chart)を用いて、綴りと音の対応を教える方法、また他の外国語も聞かせて、英語の音調を識別する活動が含まれることなどです。

https://en.wikipedia.org/wiki/Silent_Way#/media/File:Silent_Way_English_sound-color_chart.jpg

 Silent Wayは学習者に自信を持たせ、「教えられる」より「学ぶ」という主体性を与えます。さらには、協力的な雰囲気を作り出します。

問題点

この方法の問題点は、教員が沈黙する時間が多くあり、あまりに学習者との 距離があり過ぎることです。そのために、コミュニカティブな雰囲気が作られないことです。教員が直接的に教えれば、容易に明確にできる概念も発見学習という方法を用いるために、学習者は長い時間苦労することになります。この教授法を日本の中学高校に直接取り入れることは難しいようですが、学習者が自ら発見して学習するという考えは、大切なことだと思います。

感想

日本人がなかなか実感できないことは、語学学習とは問題解決の過程で学ぶということのようです。教員の関与をできるだけ減らし、学習者が自学自習していくプロセスを促進するのが教員の役目という認識は日本の教育界には少ないようです。

 

スポンサーリンク