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小学校でモジュール授業が提唱されている。文科省は2013年12月に発表した「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」では、次のように述べている。
初等中等教育段階からグローバル化に対応した教育環境づくりを進めるため、小学校における英語教育の拡充強化、中・高等学校における英語教育の高度化など、小・中・高等学校を通じた英語教育全体の抜本的充実を図る。2020年(平成32年)の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、新たな英語教育が本格展開できるように、本計画に基づき体制整備等を含め2014年度から逐次改革を推進する。
この中で、小学校3-4年では、活動型の授業を行い、時間数は週1~2コマ程度としている。その中身は、「コミュニケーション能力の素地を養う」とうたっている。さらに、「学級担任を中心に指導」とあるので、ALT などに投げやりではなくて、学級担任が責任を持って指導できるようになる必要があるようだ。その場合は、学級担任もかなりの英語力を付けておく必要がある。
小学校5-6年では、教科型の授業となる。週3コマ程度と述べているが、想定されたコマ数では週に2コマとなっている。このためにもう1コマをどのように捻出するかが問題となるが、ここでは「モジュール授業」を活用することが必至となる。それによれば、一つの例として以下のような時間割が示されている。
ここでは、モジュール授業(15分)を週に三回行うことで、1コマ分(45分)の時間を確保できる。ただ、従来はこの時間帯を算数の練習にあてたり、国語の読書にあてていた学校もあるだろうから、全面的に英語のモジュールに使うというのは問題があるかもしれない。そして、その中身は、「初歩的な英語の運用能力を養う」ことであり、教える体制として、「英語指導力を備えた学級担任に加えて専科教員の積極的活用」とある。専科教員とは英語に専念する教員であるが、これはかなり高度な英語力を備えた教員である。現時点ではその数は足りないであろうから、これから大々的に育成していくべきである。
さて、このモジュール授業というのは新しい試みであり、関心を持つ学生もいて、私の指導している何人かの学生は修論や卒論の題材にしている。文科省の説明だと、モジュール授業は通常授業で学んだことを反復学習して定着化させるために活用すべきとの説明であるが、ある学生はまったく別個の試みをすべきと唱えたりもする。その学生は通常授業ではなかなかやれないようなこと、例えば、フォニックス指導を行えばいいと述べていた。このように、単に反復ではなくて、短い時間であるが、その時間帯だけでないとできないことを行うことも面白い試みであると思われる。
ある学生はモジュール授業の指導案を考案中であるが、これは通常授業との関係で作成されるのであろうが、モジュール授業を通常授業と独立したものであると考えると、モジュール授業に関する独自の指導案も可能かとも思われる。